侍ジャパンのリードオフマンが交代を余儀なくされた。秋山翔吾外野手(31)は3回の第2打席、右足甲に死球を受けた。4回こそ守ったが5回表に退いた。先頭の第1打席はカウント2-2から果敢にスイング。大きくバウンドした打球は遊撃の好守に阻まれた。国際大会での戦いは初見投手の攻略が必須。「だから見る打席はないと思う。探っている間に投手が代わる。無駄なアウトは避けたい」と姿勢を見せた。

大会前、最初の強化試合は沈痛の朝から始まった。「まだ夢でも見ているのかと思いました…」。首里城が全焼するニュースに、目を疑った。沖縄入りした27日、首里城を訪れていた。宮崎から沖縄入りした後、那覇市内からモノレールに乗り込んだ。「乗りながら街並みとかも見てみたかった。タクシーで行くよりもいいと思ったんで」。豪華絢爛(けんらん)、風光明媚(めいび)な琉球装飾に目を奪われ入場料820円を払って正殿に向かった。

約10年前、八戸大(現八戸学院大)の沖縄キャンプ以来だった。「あの時は、まだ若くて中まで入ろうとはならなかったけど、今回は見てみようと上まで登りました」。29日には海外FA権行使でメジャー挑戦を表明。焼失するとは夢にも思わず、世界と戦う決意を胸に刻み、日本が誇る世界遺産の景色を見つめた。

前回大会15年プレミア12、17年WBC出場したから言う。「できるだけ後ろ(の打者)に情報を持っていけるようにしたい。後ろの打者が勇気を持って振りにいけるようにしないと、数字は上がっていかない」。豊富な国際大会経験を落とし込む。【栗田成芳】