侍ジャパン丸佳浩外野手(30)が、目を丸くした。4点リードの6回1死一塁。左中間にそびえる電光掲示板に映し出された成績に、小首をかしげた。「あれ? オレ、押し出しで1打点ついてなかったっけ」。初戦ベネズエラ戦の8回、押し出し四球での打点が表示されていなかった。

謎がうずまく中、カウント1-1で外寄りのシュートを、はじき返した。中堅の頭上を越える適時二塁打。「早く安打がほしいと思っていた」と11打席目で初安打。正真正銘の打点を挙げると、二塁上でジャブのようにガッツポーズを連打した。

セ・リーグ優勝の原動力になった「サカマル」で、追加点につないだ。前打者には坂本勇。巨人では2、3番でコンビを組んでいるが、代表では6、7番に座る。初戦まで不振に陥っていた坂本勇だが、前夜の2安打で復調。6回は相手失策で出塁し、丸が続いて得点を挙げた。「ハヤトさんが一生懸命走ってくれた」と感謝した丸。稲葉監督は「もう1つのクリーンアップができないかなと思った。ハヤトも丸も安打が出て良かった」と喜んだ。

ぽっかり空いた中堅に、お助け丸がやってきた。大会直前の10月31日カナダ戦で、秋山が故障離脱。丸は2日、台湾から合流した。十分に実戦感覚を養うことができないまま海を渡った。不動のセンターが抜けた侍のピンチに「そんなに迷いはなかった」とマルっと快諾。「状態うんぬんより、試合に出ている以上、期待に応えるだけ」と献身的にチームを助けていく。【田中彩友美】