プロ野球名球会に“大谷ルール”が導入される。同会の総会が行われ、従来の会員資格に加え、特例枠を設けることが決議された。

従来の入会資格は投手は200勝、250セーブ、野手は2000安打だが、特別な価値を見いだした成績をその都度、理事会で協議。候補者を総会に諮り、会員の4分の3以上の賛成で特例を適用する。二刀流を目指すエンゼルス大谷にも将来的な名球会入りが見えてきた。

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従来の名球会入りの資格を改革し、新たに「特例枠」を設けることが決まった。野球そのものが時代とともに変化している。変化に伴う改革は必要不可欠であり“1歩前進”なのは間違いないが、球界の発展を考えていくと物足りなさを感じてしまう。

かなり前から「現代の野球で200勝は厳しい」という意見は出ていた。「200勝、2000安打」以外に「250セーブ」が加わったが、もっと柔軟な思考で考えていくべき。ここ数年、野手の入会者は毎年のように出ているが、投手は16年の黒田(前広島)を最後に出ていない。10年から振り返っても、野手は17人で投手は2人。先発は黒田だけで、抑え投手で岩瀬(前中日)が入っただけだ。

投手の分業化が進み、今後も抑え投手は出てくるだろう。しかし先発で200勝できそうな投手は現在174勝のヤンキース田中ぐらい。ダルビッシュが156勝だが、ケガとも背中合わせの投手業で“当確”とは言えないだろう。ヤクルト石川が171勝、巨人岩隈と西武松坂が170勝。年齢的にも200勝は厳しいと言わざるを得ない。

個人的にも投手の勝利数を180勝に下げてもいいと思うが、今回の総会では議題にも挙がっていないという。200勝投手がポツポツと出ていた昭和で20勝減をしなくてもいいが、せめて平成だけで182勝した石井一(現楽天GM)西口(現西武投手コーチ)は資格も価値もあると思う。

「自らの価値を下げたくない」という狭い度量の名球会員が妨げているとしたら、寂しい限り。名球会のイベントを見ても、引退したての若い投手がマウンドに上がらなくなっている。球界発展のためにも、一考してもらいたい。【小島信行】