侍ジャパン稲葉篤紀監督(47)が「ポスト秋山」を探す。7日、佐賀市内で西武辻監督とともに野球教室に参加。

イベントの合間にレッズ移籍が正式決定した秋山翔吾外野手(31)と連絡を取り合い、祝福を送った。同時に長らく代表で「1番中堅」を務めたリードオフマンに代わるピースを埋めることが急務。山田哲、西川、柳田らの候補から、東京オリンピック(五輪)金メダルへカギを握る選定作業となる。

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稲葉監督は1人の野球人として秋山の門出を祝った。野球教室の昼食休憩中に米国に滞在している秋山と電話で話した。「夢がかなって良かったなと思う。『お世話になりました。頑張ってきます』と言われた」。一方で侍ジャパン監督としては重大なテーマを抱える。中断期間のないメジャー移籍で五輪出場は不可能に。「新たに考えないといけない。センターというポジションと1番バッターは」と受け止めた。

稲葉監督が指揮した28試合で9選手が1番を担ったが、秋山はトップの10試合で断トツの打率3割6分4厘。オーダー表の1番センターは即座に埋められた。打線の書き出しを考え直す必要がある。

現状の有力候補は山田哲だ。秋山が故障離脱した昨年11月のプレミア12では5試合で1番を務め、決勝の韓国戦では逆転弾を放ち10年ぶり世界一に導いた。「シーズンでやって慣れているところの方がいいかなと思う。小久保監督の時にも1番を打ち、経験もしている」と適性を感じている。

プレミア12で不在だった面々も1番、またはセンターの候補として今季前半戦を注視する。「ギータ(柳田)もいるし、遥輝(西川)もいる。足も速くて、選球眼もいい。候補選手はたくさんいる」。18年11月の日米野球で4番を張った柳田は1番の経験者でもある。代表で7試合で打率1割7分2厘と苦闘しているが「五輪でギータ1番は今のところは考えにくい。でも相手からすれば、あれだけフルスイングして一発もある。実行する、しないは別にして、いろんなシチュエーションを含めて考えていく」と選択肢を捨てない。

五輪まで200日を切り、模索の日々が続く。山田哲にも「シーズン中に少し一塁手のノックも意識してやってもらったりとお願いしようと思う。負担のないように」と要請する。大一番へ戦力を整えていく。【広重竜太

○…侍ジャパン稲葉監督はメジャー移籍を目指していた菊池の広島残留に複雑な心境を示した。「言い方が難しい。決して良かったとは言えないです」と思いをくんだ。それでも正二塁手候補が五輪に臨める状況に「こちらとしては五輪をしっかり考えてやっていく」と見据えた。