昨年12月に学生野球資格回復研修を受けたイチロー氏(46=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が7日、資格回復を認められた。都内で開かれた日本学生野球協会による資格回復審査委員会で、同氏を含む94人が認定された。8日以降、各都道府県高野連や各大学連盟に指導者登録すれば、学生を指導できる。

アマ球界で活躍する元プロ指導者は資格回復制度をどう考えるのか。元近鉄選手で慶大監督からJX-ENEOS監督に復帰した大久保秀昭氏(50)に聞いた。

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プロがアマに教えやすくすべきか。大久保氏は「野球人口が減っている。もっと簡単にしていいとも思うし、最低限のルール、資格はあるべきとも思う」。前回のJX-ENEOS監督時代、制度開始1年目の14年1月に資格回復。それまでは大学生との練習試合でも気を使った。過去の経緯を学び、やむを得ないと理解はしている。一方で、プロがアマに教え「何がダメなんだ」とも素朴に思う。

プロアマ両方での競技・指導経験から抱くのは、プロが上と決めつけることへの違和感だ。「『プロが一番。お前ら、しょせんアマチュアだろ』という人の下では教わりたくない。野球の優劣で人間の優劣までつけられない。そりゃプロが大観衆の中、トップレベルの技術で勝負した経験は何物にも代えられない。その経験を話すことはできる。でも、育て導く能力は別だと思う」と強調する。自らも「元プロ」だが「そんなの要らない。プロ経験と指導力は別です」と続けた。

野球を一くくりで捉え「アマで結果を残した人がプロの指導者やGMになる時代になってもいい」と望む。だから、イチロー氏には「底辺まで下りてくれて身近に感じられたら、野球界にとってこんなにうれしいことはない」と裾野を広げる活動を期待した。【古川真弥】