ソフトバンクのキーマンへのインタビュー企画「S15(サァイコー!)な男たち」。今回は石川柊太投手(28)です。故障した昨年の悔しさをバネに完全復活を狙う右腕に、日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(50)が特別インタビュー。カブスのダルビッシュ有投手(33)直伝のカットボール習得で、目標の「先発ローテーション確保&規定投球回数突破」を誓った。【取材・構成=浦田由紀夫】

浜名氏 今季の私のイチオシ選手として、直撃インタビューさせてもらいます。よろしくお願いします。早速ですが、今キャンプは順調ですか? 昨年は右足と右肘を故障しましたが?

石川 大きなアクシデントなく、調子を気にせずにやれています。投げられる喜び、走られる喜びを感じています。

浜名氏 昨シーズン終盤に復帰し、クライマックスシリーズでは快投を演じました。無理せずに今季に間に合わせる判断もありましたが

石川 その時にいけるかどうかで、行こうという判断でした。上がってきてほしいという話だったこともある。まずは目の前の試合でした。

浜名氏 ズバリ、聞きます。今季は先発でいきたいのか、それとも中継ぎでも言われたところはどこでも、という気持ちなのか

石川 やっぱり先発ローテーション投手でやっていきたい。他の人はどう考えるか分かりませんが、中継ぎは、先発がダメになったからという理由みたいですし…。長いイニングを任せられない、みたいな。中継ぎでも先発でもやれる強みはあると思いますが、自分は先発をしたいです。

浜名氏 先発の座を勝ち取る手応えは?

石川 ケガをしないためにフォームを変えたり、トレーニングも変えたりしています。フォームは感覚的な話なんですが、股関節のぎこちなさを解消するようにしています。まだしっくりきていませんが…。トレーニングについては、昨年故障して鍛えられなかった肩周りや胸の筋肉をつけようとしています。こっちは手応えがあります。

浜名氏 個人的には千賀と2人でローテーションを守っていってほしいと思っています

石川 昨シーズンは投手陣が千賀に「おんぶにだっこ」でした。自分も千賀に追いつく感じでやりたいし、千賀から「あいつに頼むわ」と言われるくらいになりたい。千賀と一緒に自主トレもやったし、今季は2人で投手陣を引っ張っていきたい気持ちが強いです。

浜名氏 千賀も少し調整が遅れ気味だが、石川君が柱になるくらいの気持ちでね

石川 そうなれるように体作りからやってきた。うまくかみ合わせるようにしていきたいです。

浜名氏 球種は増やすつもり?

石川 カットボールをつかみたいです。カーブとフォークだけでは抑えられない打者もカットがあれば抑えられる。投球も格段に楽になると思います。まだキャッチボールで投げる程度でブルペンでも2、3球しか試していません。まずは直球の感覚を優先して、そこをクリアしてから本格的に挑みたいと思います。

浜名氏 最後に今季の目標を教えてください

石川 キャリアハイです。先発で規定投球回数をクリアしたいです。これまでは夏場に疲れていた。そして中継ぎに回されないように(笑い)。試合をしっかりつくれるようになりたい。中継ぎのクセで、最初から全力でいってしまっていた。投球術みたいなものを身につけたいです。

◆石川の復活経緯 18年に13勝を挙げたが、広島との日本シリーズで右肘に違和感を覚えた。19年の自主トレで右太もも肉離れを起こし、春季キャンプはリハビリ組スタート。復活間近の4月にインフルエンザにかかり、右肘痛も発症して離脱した。手術を選択せず、ヤンキース田中も行った血小板を使って組織の修復や再生を図る「PRP療法」で回復に努めた。巨人との日本シリーズ第3戦に2番手で登板し、2回無失点で勝ち投手になり復活。今オフの自主トレは千賀と合同で行うこともあった。今キャンプはランニングなど別メニューでスロー調整していたが、第3クール3日目の13日、A組の打撃投手を務めるまで回復した。

◆石川柊太(いしかわ・しゅうた)1991年(平3)12月27日生まれ、東京都出身。都立総合工科から創価大に進み、13年ドラフトでソフトバンクから育成1位で指名。16年7月に支配下登録。17年4月に1軍デビューし、同年5月31日の中日戦で初勝利を挙げた。185センチ、86キロ。右投げ右打ち。