熱いシーズンはまだ見られないけど、ドラマチックな場面を今年も見たい。そこで、これまで球史に残るワンシーンを生み出してきた「代打の切り札」を深掘りした。

 <代打アラカルト>

◆最多本塁打は高井 通算代打本塁打のプロ野球記録は、高井保弘(阪急=昨年12月死去)の27本。大リーグ記録の23本(M・ステアーズ)を上回っている。27本のうち肩書付きが12本もあった(逆転サヨナラ1、サヨナラ2、逆転2、勝ち越し2、同点5本)。高井に代打本塁打が出た試合は17勝10敗。

◆球宴でも代打男 高井は74年のオールスター第1戦、9回1死一塁で、山崎(ロッテ)の代打で登場。松岡(ヤクルト)の内角低めの直球を左越えに逆転サヨナラ2ラン。球宴史上唯一の代打サヨナラ本塁打となり、MVPに選ばれた。

◆代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾 近鉄が01年9月26日オリックス戦の9回裏、3点を追う無死満塁で梨田監督は北川博敏を代打起用。北川は大久保のスライダーをとらえ、バックスクリーン左へ運んだ。プロ野球史上初めて代打逆転サヨナラ満塁弾で優勝決定。

◆代打でもよく打った若松 若松勉(ヤクルト)は通算4000打数以上で歴代3位の打率3割1分9厘だが、代打の通算打率も3割4分9厘(258打数90安打)で起用300回以上のセ1位。77年6月12、13日広島戦では2日続けて代打サヨナラ本塁打。

◆シーズン最高打率 古い記録は不明だが、74年長崎慶一(大洋=81年以降は啓二と改名)は32打数15安打で打率4割6分9厘をマークした。

◆昨季首位打者は陽岱鋼 昨季の打率トップ(チーム試合数の4分の1以上起用が対象)は陽岱鋼(巨人)の3割9分4厘(起用36、33打数13安打)。

◆7打数連続安打 80年松原誠(大洋)と03年初芝清(ロッテ)がプロ野球記録。松原は1四球を挟んでおり、四死球を挟まない7打席連続安打は初芝だけ。

◆11打席連続出塁 00年種田仁(中日)が代打で11打席連続出塁のプロ野球記録。6月2日~7月12日に6安打、5四球で続けた。

◆ずっと代打 60~74年の宮川孝雄(広島)は、通算889試合のうち776試合が代打。68年途中から74年まで345試合連続で代打出場した。

◆代打オレ 兼任監督が自ら代打で登場した主なケースでは、野村克也監督(南海)が74年に1本塁打を含む4打数3安打。古田敦也監督(ヤクルト)は06、07年に計19度で19打数7安打、谷繁元信監督(中日)は14、15年に計10度で9打数1安打。