かつて高校屈指の右腕と呼ばれた男が、マウンドに戻ってきた。上宮太子(大阪)の元エースを覚えているだろうか。巨人亀井善行外野手だ。3年だった00年春、エースとして同校を初のセンバツへ導いた。

11日、川崎市のジャイアンツ球場で個人調整に参加し、他の選手が晴天の中、外野ノックを受ける中で、ブルペン入りした。

持ち球は高校当時最速145キロを誇った直球に、カーブ、スライダー、チェンジアップ。全球種32球を投じた。若干変化球に課題を残したものの「いつでもシーズンに入っていける状態」と、マウンドへ向かえることを証明? した。その後は「俺は二刀流だから」とエンゼルス大谷並みに、打撃ケージに場所を移し、打ち込んだ。

甲子園をわかせてから20年の時がたった。今やチームに欠かせない左の強打の外野手となった。昨オフは球団史上最年長で初の大台超えの1億1000万円(金額は推定)で契約を更改した。

プロ16年目。衰えを知らない37歳は、1番打者だけでなく、クリーンアップとしても、そして下位からバックアップする役割も担える。主戦場は左翼だが、キャンプ中には一塁の守備も挑戦した。仮にスタメンではない場合、代打からも圧力をかけられる。そして投手も…。亀井は二刀流以上の可能性を大いに秘め、開幕の日を待ちわびる。【栗田尚樹】