プロ野球リーグで世界に先駆けて開幕している台湾プロ野球が8日、今季初めて観客を入れた公式戦開催を開始した。新北市の新荘で行われた富邦対統一戦、台中洲際での中信兄弟対楽天戦に各1000人が客席から声援を送った。両球場ともに内野席全体で客席の間隔を確保してファンが来場。世界のおもなプロ野球リーグでは最速の観客の入場とみられる。

シーズンチケット購入者やファンクラブ会員から優先販売。各1000枚の入場券は台中で売り切れ、新荘でも、ほぼ完売状態だという。チャンスで立ち上がるなど、盛り上がった。

台湾は新型コロナウイルスの防疫策が一定の成果を挙げ、4月12日に無観客で開幕していた。中華職業棒球大連盟(CPBL)は中央感染症指揮センターと協議を重ね、5月5日に観客解禁を発表していた。公式戦スタートから1カ月足らずで新たな段階に入った。試合前セレモニーではバックスクリーンのビジョンに蔡英文総統が登場。世界の医療従事者へ「あなたたちは皆にとってMVPです」と感謝を示した。

また、中華職業棒球大連盟の呉志揚コミッショナーは「母の日を前に世界に先駆け、ファンを入れて開催できることをうれしく思う。ファンの皆さんも、さまざまなルールに慣れないことはあるかと思うが、ぜひとも協力を願いたい」と呼びかけた。来場した観客にはウイルス感染の予防を徹底する。CPBLは最大1000人の動員を決めた際に、以下の対策を挙げた。

<1>入場時の検温

<2>入場時の消毒

<3>行列時のソーシャルディスタンス確保

<4>場内でのマスク着用義務

<5>入場券に名前明記

<6>指定座席への着席

<7>試合中の観客の間隔確保

<8>座席の移動自粛

また、この日は同センターの指導で球場内の飲食は水分補給以外が禁止されたほか売店の営業も見合わせになり、予防を徹底した。

台湾は新型コロナウイルスの感染者が440人にとどまる(同センター、8日午後3時半現在)。観客入場を解禁し、今後の試合も継続する方針で新たなステージへ。日本や米大リーグは開幕日が決まらず、韓国も5月5日に無観客で公式戦が始まったばかり。「台湾方式」は今後、各国がリーグを運営する上で参考になりそうだ。【酒井俊作】