プロ野球12球団のオーナーが団結して新型コロナウイルスによる球界の危機を乗り切る。

12日、オンラインで臨時オーナー会議を開催。11日の12球団代表者会議で示された6月半ばから下旬の開幕を目指す方針が球団トップ間でも確認された。一方で大幅な試合数削減に、当面の無観客試合も決定的。収入の激減が避けられない状況に議長を務めたDeNA南場智子オーナー(58)が危機感をあらわにした。

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オーナー会議初の女性議長でもあるDeNA南場オーナーの論点は明確だった。6月半ばから下旬の開幕を目指す方針で一致したと表明した上で「プロ野球はかつてない危機的ともいえる状況です。球団経営にとって非常に大きな問題。減収のインパクトは大きい。大きな影響をすべての球団が受け、それは球団経営だけでなく、選手、ファンの皆さんへの影響もある。従って、みんなで力を合わせて乗り越えていく」と凜(りん)と説いた。

今年は7、9、11月に行われる予定だった球界トップの集いは「国難」の状況下で臨時で行われた。約1時間半の会議で経営状況の確認や意見交換がなされた。当面の危機回避もあるが、長期にわたり尾を引くことになりかねない事態だ。「経営基盤を安定的かつ健全にしていかなければ、プロ野球そのものがしっかりと存続していく保証にはならない」。斉藤惇コミッショナーも「プロ野球として独立採算、自立できるようにしていかなければ。長期的に経営問題を考えていこうという話もあった。親会社から補■(ほてん)を受けるのでは社会人野球と同じことになる」と加えた。多くの球団の親会社もコロナ禍が直撃し、従来の支援は望みにくい。

82試合を見込むメジャーでは、試合数に年俸を比例させると大リーグ機構と選手会が3月に合意。11日は収益の折半が提案された。だがプロ野球の統一契約書には新型コロナウイルスの感染拡大のような不測の事態で減額できる条文がない。選手会との労使交渉が不可欠だ。南場オーナーは「現在の状況が苦しいというのは皆さん共有している。その中の1つの要素として話題には上がった」と慎重に話した。今後、試合数が決まれば協議される可能性はある。今季年俸を維持しても今オフの年俸交渉への影響は否めない。

まずは感染予防に全力を尽くし、最短で6月19日開幕の120試合が目標となる。同26日なら114試合、7月3日なら108試合を見込む。交流戦、球宴の中止が決定し、CSの実施も日程的に難しい。「楽観視できる状況ではない。ただファンの皆さまに野球を届けたい」。安全に1試合でも多く-。南場オーナーが総意を伝えた。【広重竜太郎】

※■は土ヘンに真の旧字体

▽西武後藤高志オーナー (経営面で)非常に厳しい状況であるのは事実です。しかしながら、安全・安心のためには致し方ない事なので、12球団一丸となってこの難局を乗り切っていきたいと思います。効果的な対策を練っていくということは非常に難しい事ですが、今後出てくるさまざまな課題に対して、その都度向き合っていきたい。

▽DeNA三原球団代表(6月中旬から下旬をターゲットとした開幕について)どう準備すべきか球団内で検討して参ります。(今後の予定は)現時点では未定です。

▽広島松田オーナー 開幕に向けて最大限みんなで努力しようという話になった。どういう方法でやるか、いつ明確にするのか決まっていないので、悩ましい。地域によって差は大きい。

▽中日大島オーナー 収入がない状態で固定費だけが動いているのは経営的には当然厳しい。プロ野球を永続的な世界にしていくためどういった取り組みが必要なのか(12球団の)皆さん一致した思いがある。(就任後初出席で)これだけ深刻な課題を背負った状態で各球団のリーダーの方々と話し合いをするのは緊張感がありました。