日本ハムの2年目、万波中正外野手(20)が開幕1軍へ、猛アピール弾を放った。9日、ヤクルトとの練習試合(神宮)に守備から途中出場。8回のこの日唯一の打席で、ヤクルト石山の変化球を捉えバックスクリーンに運んだ。コンゴ人の父を持つポテンシャル抜群の未来の主軸候補。練習試合は残り5試合、パンチ力あふれる打撃で開幕1軍を引き寄せる。

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青空に映える、豪快なアーチが飛び出した。3点を追う8回の先頭。万波は、確信した。「打った瞬間に、いったと思いました」。ヤクルトの守護神候補・石山の3球目、127キロのスライダーをファースト・スイングで捉えた。打球はバックスクリーンに吸い込まれる特大弾。ベンチに戻るとチームメートと一定の距離を保ちながら、満面の笑みで会心の一発を喜んだ。

ミスへの恐怖心から抜け出した。春季キャンプでは2年目で初の1軍スタートも、気合が空回りすることが多かった。オープン戦では4三振に適時失策を犯すなど、大苦戦。キャンプ後には「気合のボウズ」に刈り上げ、自らを鼓舞した。「上の舞台を怖がってプレーしてしまっていた」と1軍レベルに、おじけづいていたが「結果ダメでも、それで死ぬわけじゃない」と開き直り、一回り大きくなった。

負けん気の強さを、成長への糧にしてきた。同期入団で同学年の野村が、一足早く4日の練習試合で本塁打を放ちアピール。「僕はめちゃくちゃ意識していて。本当にジェームス(野村)に負けたくないというのはありますね」と闘争心を、かき立てられた。この日は1学年上のヤクルト村上の本塁打を目に焼き付けた。「貫禄があって、雰囲気もそうですし。技術的なものでも本当に単純にすごいなと思いました」と、刺激を受けた。

開幕1軍へ、アピールの舞台は残り5試合。ここまで3試合に出場し8打数3安打1打点。激戦区の外野手陣に食い入るため、持ち味のパンチ力で存在感を示していく。栗山監督は「ワクワクするね」とポテンシャルの高さに期待した。万波は「自分が出来ることに1個1個フォーカスしていって、結果を出すということを目標にやっていきたいです。その結果、開幕1軍のメンバーに選んでもらえたらうれしいかな」と、地に足は付け、快音を響かせていく。【田中彩友美】