今や神!? 広島鈴木誠也外野手(25)が17日、マツダスタジアムで練習し、19日に開幕する異例のシーズンへ決意表明した。16年6月18日に、2年連続サヨナラ弾を放ち、緒方孝市前監督から「神ってる」と称賛された。あれから4年。進化する若き主砲のすごみを関係者たちの証言から迫った。

   ◇   ◇   ◇

6月18日はいわば「神ってる記念日」だ。16年の同日に2戦連続サヨナラ弾を放ち、一気にスターダムを駆け上がった。広島の主砲のすごみは? 高校を卒業したばかりでまだ線が細い鈴木誠を朝山打撃コーチは今も強く覚えている。「うまくなりたいという気持ちが強かった。取り組む姿勢から成長していこうというのが出ていた」。1年目の13年、当時2軍外野守備走塁コーチを務めていたが、同年終盤に1軍デビューを果たしても驚きはなかった。

その姿勢は4番になっても変わらない。17年夏、右足首を骨折。大野寮で静養を義務づけられていたが、隣接する練習場に姿を見せた。「まだ練習もできないのに何しに来たかと思ったら、コーチ陣がどうやって指導しているのか聞いていた。選手個々の打撃も見ていたし、そういう選手にどう教えているのかをずっと見ていた」。打撃の深い探究心に同コーチは驚かされた。1軍で再会した今年も「向上心は一緒。より強くなっているかもしれない。放っておいてもちゃんとやるから心配していない」と全幅の信頼を寄せる。

探究心の深さは間近で見てきた山本打撃投手も認める。広島打撃投手で唯一のプロ野手出身。フリー打撃時の打撃投手としてだけでなく、ティー打撃のトス役、今年の自主トレも一時サポートした。「高いレベルでの同じルーティンをやり続けている。他の選手もルーティンは持っているけど、技術や濃密さ、すべてのレベルが2個上。100打数100安打打ちたいと本気で思っているから、ティー打撃1球でも打ち損じたら悔しがる。それを365日続けられる。今でも誰よりも練習している」。同じ野手としてプロの世界を生きたものだからこそ分かるすごみだ。同学年西川にとっても特別な存在。「どの投手に対しても自分の間合いで打ちにいけている」と刺激を受ける。いまや日本の主砲に成長した男が、異例のシーズンでどんな活躍を見せるのか、注目だ。【前原淳】