開幕連敗の呪縛を解くことはできなかった。2年連続で開幕投手を任されたオリックス山岡泰輔投手(24)は7回5安打1失点と、楽天エース則本昂と投げ合った。しかし8回を任された神戸、吉田一が計8失点。チームは10年楽天戦の勝利を最後に、開幕9連敗で10年間未勝利となった。

山岡は声を絞り出すように振り返った。「悔しいですね…。ゲームを作れたところはよかったと思います」。悔しさを隠せない。それでも入念に重ねた準備は生きた。試合前には「リハーサル」で本拠地のマウンドを確認。プレートから本塁方向に左足を踏み出して、着地足を定める。時折、グラウンドキーパーと話しながら5分間の準備。本番直前の微調整もプロとしての自覚だ。

普段通りを心掛けた。「やっておきたいことは全部やってきた。あとは開幕を待つだけ」。自然体で一塁ベンチを飛び出した。白線を左足でまたいで軽くステップを踏む。真っ白なプレートに、右手人さし指で「信」と刻み、そっと3秒ほど手を当てる。ルーティンを崩すことなく20年シーズンへ。徹底した準備力で、エースは最善を尽くした。

山岡の降板後、チームは流れを失った。西村監督は「走者を出しながらも粘ってくれた。最初の登板ということもあって(103球の)球数であそこ(7回)で代えました」と説明した。山岡は次戦に向け、前を向いた。「始まったばかり。切り替えて次の試合は投げていけるかと思います」。曇った表情を、次は晴らせてみせる。【真柴健】