新しい歴史の幕開けだ。広島佐々岡真司監督(52)が2試合連続逆転勝利で開幕2連勝を飾った。粘り強く投げる投手を中心に守りを固め、つなぎの攻撃で得点を重ねる。2試合続けて理想的な戦いで、3連覇した18年以来の好発進。球団の新人監督としては68年根本、75年ルーツ以来となる開幕連勝スタートとなった。

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大きめの真っ赤なマスクを着けても、表情が穏やかなのはわかる。ベンチで静かに座る佐々岡監督はコーチ陣を信用し、冷静にタクトを振った。投手陣は失点しても粘り、野手が攻守でもり立てる。開幕から2試合続けて2桁安打で逆転勝利。勝利のハイタッチの直前には失点した床田やフランスアに声をかける気配りも忘れない。「一体感」で、3連覇した18年以来の連勝スタートを切った。

指揮官は名前の通り選手を信じ、コーチ陣を信じる。開幕戦は今永に対して好相性の長野の先発起用を考えていたが、打撃コーチが練習試合で結果を残した堂林を推す意見を採用した。2戦連続先発起用の堂林は4安打2得点。打線のつなぎ役となった。開幕スタメンから外れた長野にも開幕戦前に「しっかり準備をして、やってくれ。大事なところで出場もあるぞ」と伝えていた。その言葉が、この日の決勝打につながったのかもしれない。

初戦の三好に続き、この日は1点ビハインドの7回1死二、三塁から遊撃右の強烈な打球を田中広がダイビングキャッチ。好捕で追加点を許さず、直後の逆転劇を呼んだ。理想とする「投手陣を中心に守り勝つ野球」で流れをものにした。

掲げる「一体感」は自ら率先する。監督自らあいさつするだけでなく、話しかけることもある。話題は野球だけでなく、グルメなど多岐にわたる。全体練習だけでなく居残り特打の球拾いも手伝う。そんな姿が先発、途中出場の選手が束となって戦うチームの姿になっている。「出る選手がみんな意識を持ってやってくれている」。広島の新人監督としては68年根本、75年ルーツ以来となる開幕連勝発進となった。球団史の中でも、大きくチームを変えた2人の将に続く好発進は「新時代」の幕開けを予感させる。【前原淳】