開幕3連敗がなんや! 阪神近本光司外野手(25)が打線てこ入れにすぐさま応えた。初回に巨人サンチェスから右翼席中段へ今季1号となる先頭打者アーチを放った。開幕2番で20年打線のカギを握る存在になったが、チームの非常事態に昨年の主戦場である1番に戻った。開幕から2戦連続無安打だったが、快音が響かせた近本が苦戦するチームをけん引する。

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開始からわずか30秒後だった。近本が電光石火のアーチを描いた。昨季韓国リーグで17勝を挙げた巨人サンチェスの3球目、内角146キロカットボールを振りぬいた。打球は高々と舞い上がり、無人の右翼席中段へ着弾。自身2本目の先頭打者弾で宿敵に先制パンチを浴びせた。

開幕2戦は「2番」で先発出場したが、打線は2試合で合計3得点。打線は早くも改造され、1番に座った。「打順というよりは初めて対戦する投手だったので、真っすぐに合わせて強くスイングすることと、出塁してチームに勢いをつけることを意識して臨みました」。この日チーム唯一の得点は、近本のバットから生まれた。

昨季は108試合で「1番」を務めたが、今季は矢野監督が20年打線のキーマンとして「2番」に配置。開幕前の実戦では31試合に出場し、「1番」に座ったのは6月12日のオリックス戦だけ。それでもその1試合で、勝ち越し打を含む2安打1打点と輝きを放った。開幕2戦目を終えて9打席快音がなかったが、慣れ親しんだ打順でようやく出た今季の初安打。それも豪快なアーチで決めた。

期待が大きいからこそ、求められるレベルも高い。指揮官は「先頭バッターで今日はいいスタートを切ってくれたけど、状態自体はもっと上がると思う。やっぱり多くランナーに出るというところがもっともっと必要」と愛のムチ送った。近本も「その後の打席で仕事ができなかった。反省しなければいけない」と話す通り、この日はソロの1安打のみ。開幕カードを終えて打率はわずか7分7厘。昨季159安打でセ・リーグ新人安打記録を樹立したヒットマンにしては、まだ物足りない。

試合後は「(23日からの)ヤクルト戦に向けて、しっかりと調整していくだけです」と力を込めた。「1番」で調子を上げ、開幕3連敗スタートとなったチームを引っ張っていく。【只松憲】

▼近本の初回先頭打者本塁打は、19年5月26日DeNA戦(横浜)で浜口から打って以来、自身2本目。

▼阪神の選手の巨人戦での初回先頭打者本塁打は、10年4月15日(東京ドーム)でマートンが内海から放って以来10年ぶり。日本人では、浅井良が09年9月16日(東京ドーム)で東野から記録して以来、11年ぶり。