広島鈴木誠也外野手(25)が巨人の進撃を止めた。1回2死一塁、メルセデスから左中間へ特大の3号先制2ラン。相手の勢いをそぐ効果的な一撃。田中広、菊池涼もアーチで続き、巨人の開幕からの連勝を4で止めた。日本球界が誇る主砲は、今季も成長を止めない。

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無観客の東京ドームに、衝撃音が響いた。広島の4番鈴木誠が、1回2死一塁から巨人先発メルセデスの直球を強振。白球は鋭い弾道で左中間席上段の空席スタンドをたたいた。連敗中の広島を勢いづける3号先制2ランが、開幕4連勝の巨人の勢いを止める決勝弾となった。

「2連敗していたし、巨人の流れを少しでも止められればと思った。1つ取れれば雰囲気が変わると思っていた。そういう意味で先制打を打てて良かった」

前日23日は今季初の無安打に終わり、チームも連敗となった。この日、試合前の守備練習では大きな声で「I got it!」とふがいなさを発散するような姿も見られた。打撃は冷静に修正箇所を分析。いつものティー打撃のルーティンに、右足を1歩出したスイングを取り入れた。同様の練習は6日オリックスとの練習試合以来で、その日に負けぬ特大弾につなげた。

日々成長しようと取り組む。昨季終了後、まず決めたのが首位打者バットとの別れだった。「挑戦しないと、人は変わらない。ある程度同じ型のバットを使って、あれくらいしか結果が出ないことが分かった。体も毎年変わるので、変えていかないと。ずっと同じだと不安になる」。初の個人タイトルを得ても、満足感、達成感はなかった。バットの重量を上げ、型もいくつか試した。延びた調整期間の最後まで試行錯誤した。結果的には昨季の型のバットに戻したが「失敗しないと成功はない」と言った言葉を証明するのみだ。

5回は2番手古川相手にノーステップで中前打を放ち、今季3度目の複数安打とした。開幕5試合で3本塁打、7打点はいずれもリーグトップ。打率も4割1分2厘と好発進した。「まだまだ始まったばかり。本塁打は特に意識していない」。広島の主砲、日本の4番は成長の歩を緩めない。【前原淳】