プロを目指す高校3年生救済へ、日本野球機構(NPB)と日本高野連がタッグを組んだ。日本学生野球協会は25日、都内で理事会を開き、日本高野連が申請したプロアマ共催による「合同練習会」の実施を承認した。

プロ志望届を提出した高校生の希望者を対象に、8、9月の週末に行う。新型コロナウイルス感染拡大で大会中止が続き、スカウト視察の機会も限られた。10月26日の今秋ドラフト前に、選手の力量をみるトライアウト的機会となる。

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史上初のプロアマ合同練習会の背景には、新型コロナウイルス感染拡大がある。日本学生野球協会の内藤雅之常務理事は「3年生の公式大会が、ほぼなかった。救済措置の意味が大きい」と説明。センバツ、春季大会、選手権と中止が相次ぎ、3年生は実力を披露する場が激減した。6月に入り、日本高野連側がアピール機会を設けるためにと提案。NPBも賛同し、合意に至った。アマ側に対し、多くの有力選手の参加を希望している。

内藤常務理事は「平等性」も強調した。選手権に代わり、各都道府県高野連は独自大会の準備を進めている。無観客が原則だが、控え部員や保護者の入場を認めるかは各高野連の裁量。スカウトも同様で、都道府県により入場できるところと、できないところが別れる可能性がある。「3年生部員の進路保証の観点から平等性に欠ける」と、一堂に会しての練習会実施に踏み切る。

詳細はNPB、日本高野連の両事務局で詰め、7月20日前後に実施要項を発表する。日程は8月29、30日、9月5、6日、12、13日の3つの週末を確保。東西1回ずつ1泊2日で行うが、参加希望者が多ければ3回目も検討する。練習メニューはNPB側で組むが、2軍指導者がノックを行うこともありそう。紅白戦も考えられる。テレビ中継を期待する声も出ている。

高校生のプロ志望届は通常、夏の甲子園終了からドラフト2週間前まで受け付けるが、今年は8月1日に受け付け開始。合同練習会の参加者は、同21日までに志望届を提出し希望した高校生が対象となる。【古川真弥】

○…プロを目指す大学4年生については、合同練習会は計画されていない。現時点では、各大学連盟は通常どおり今秋リーグ戦の9月開幕を目指しており、ドラフト前にスカウトが視察する機会が残されている。プロ志望届は、例年通り9月1日から受け付ける。