日本ハム野村佑希内野手(20)が、初ものづくしで主役になった。25日、楽天戦(楽天生命パーク)に8番三塁で3試合ぶりに先発出場。3回にプロ初安打、6回に左中間を破る2点二塁打で初打点、8回に右中間を破る三塁打で初の猛打賞をマークした。高卒2年目の「ジェームス」が4打数3安打3打点と、10代最後の日に躍動。チームの連敗ストップに貢献した。

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硬かった表情は、快音の度に崩れていった。野村が、節目の一打を刻み続けた。3回の第1打席。2球で追い込まれたが、塩見の128キロのフォークをたたき中前打。出場4試合、12打席目で待望のプロ初安打を放った。6回の第2打席には左中間を破る2点二塁打で、プロ初打点を挙げた。二塁ベース上、先輩が喜ぶ姿につられるように笑みを浮かべた。

「ジェームス」がハッスルした。米国生まれで、ミドルネームはジェームス。両親は日本人も、父の仕事の都合で3歳まで米国で暮らした。8回の第4打席、清宮らから頭文字を取って「J(ジェイ)!」との声援を受け、右中間を破る適時三塁打でダメ押し。プロ初の猛打賞で、サイクル安打に王手の4打数3安打3打点と躍動した。「チャンスでチームの勝利に貢献できることは、すごいうれしい」と喜んだ。

故障を経て、心身は変化した。昨年8月に左股関節後方亜脱臼で全治5カ月と診断された。シーズン中の復帰はかなわなかった。復帰後、走塁への意識が変わった。2軍首脳陣から「走る意識がない野手は、魅力がない」と指摘されていたが、自ら次の塁へとスタートを切る姿に変貌。この日も抜かりない走塁で長打につなげた。

2年目ながら、若手の模範に成長した。今季の2軍開幕戦の円陣で、野村の名前が出た。「若い選手が出来ていなかった積極性。1番出来ていたのが野村だった」と荒木2軍監督。野村は積極性で開幕スタメンを射止めたが、不振でここ2試合はベンチ待機。「頭を整理する時間をもらった」と無駄にしなかった。

26日が20歳の誕生日。10代最後の日、前祝いの活躍を見せた。栗山監督は「彼のスケール感が出た試合だった」と評価した。野村は「ハタチになっていろいろ心機一転、切り替えて、明日から勝利に貢献できるバッティングを準備しながらやっていきたい」。勇ましく、大人の階段を一段上った。【田中彩友美】