矢野阪神が痛恨の1敗を喫した。1点リードの9回に、阪神藤川球児投手(39)がヤクルト西浦にサヨナラ3ランを浴びた。日米通算250セーブまで残り7、名球会入り目前の守護神がまさかの被弾で、2カード連続の負け越し。開幕6試合で1勝5敗と大きく出遅れた。

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藤川がマウンドでしゃがみ込んだ。打球は左翼スタンドへ。サヨナラ3ランを被弾。ヤクルト陣の歓喜を背に背番号22はマウンドを降りると、ベンチに戻ることなく、三塁側ファウルゾーンからクラブハウスに向かった。1点リードの9回に登板。待っていたのは、まさかの結末だった。

「チーム全体でゲームをつくって、あと1アウトのところまでいって、勝ちたかった。相手が上回ったと思う。悔しいし、絶対にやり返します」

広報を通じ、藤川はそうコメントした。言葉通り、あとアウト1つだった。1死から四球も、4番村上を直球で空振り三振。だが、上田に左前打され、2死一、二塁に。最後は、代打西浦に2球目の直球を捉えられ、目前で勝利は消えた。

先発秋山が好投。0-0で迎えた7回無死一、二塁のピンチは2番手岩崎が後続を断った。8回に梅野のソロで勝ち越し。その裏は新8回の男、スアレスがピシャリ。日米通算250セーブにあと7に迫っている藤川の今季初セーブで勝利のシナリオは締めくくられるはずだったが…。痛恨の1発で、チームにとっても今季初のサヨナラ負けとなった。

藤川は今季2試合目の登板で、2試合連続の失点。だが、そんなことで矢野監督の信頼が揺らぐはずもなく「あのまま今日は、最後は球児に任せるというところで、この負けは仕方がない。またいってもらうよ」。ただ、これで2カード連続負け越し。1勝5敗で借金も今季ワーストの4。なんとも痛い黒星だ。

5敗のうち逆転負けが3度と勝ちきれないのも気がかりだが、打線の湿り具合も深刻。この日も1点だけで、6戦10得点。3回と5回は無死二塁の好機を生かせなかった。開幕ダッシュ失敗の大きな要因だけに、矢野監督も「打線が点取れないというのが苦しいよな」と頭を悩ませている。

「始まったばかりなんで。全員で。何とかしようというものはみんな持ってやってくれてる。(次カードのDeNA戦で)何とか流れを変えにいきます」と指揮官は前を向く。まだ巻き返す時間はあるが、厳しい戦いが続いている。【松井周治】