北東北大学野球リーグ富士大(岩手)の豊田圭史監督(36)が6月末で退任することが27日、分かった。

今夏にも母校の武相(神奈川)で監督に就任する。この日の練習試合後、全選手、スタッフに伝えた豊田監督は「大学日本一を目指してやってきたので、勝ち取ってもらいたい。今度は富士大のOB、先輩として力になれればいい」と、今秋以降の日本一獲得に期待を寄せた。後任には、現在同大コーチを務める安田慎太郎氏(35)が7月1日付で内部昇格する。

豊田監督は09年に同大コーチに就任すると、12年に明治神宮大会ベスト4。青木久典前監督(47、現法大監督)を引き継いで13年12月から監督に就任し、14年春から18年秋まで北東北大学リーグ史上最長10連覇を達成した。

選手育成にも定評があるため、地方大学ながら無名の高校生らも集まり、部員は4学年総勢200人を超える。コーチとして広島中村恭平投手(31)、西武山川穂高内野手(28)をプロ野球に輩出。監督になってからも西武外崎修汰内野手(27)、西武多和田真三郎投手(27)、阪神小野泰己投手(26)、楽天鈴木翔天投手(23)、西武佐藤龍世内野手(23)を加え、総勢7人がドラフト指名され、活躍中だ。さらに都市対抗を目指す強豪社会人にも数多く輩出し、現役の選手、コーチだけでも60人を超えている。

今春は3季ぶりのリーグ優勝に向けて、投手力を磨いて準備していた。リーグ戦での9投手リレー構想などもあったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全日本選手権を含めて中止。投打ともに下級生にも好素材が多く、巻き返しは安田新監督に託す。

高校での指揮は初経験となる。大学では全体練習を短くし、個々の長所や自主性を養って成長を促してきたが「高校球界は右も左も分からないのでゼロからのスタートになる。野球だけでなく、あいさつや身だしなみなど野球以外の生活も大切にしたい」。同校は1964年(昭39)夏の甲子園に初出場後、5年間で神奈川を4度制したが、その後は聖地から遠ざかっている。近年は10年夏に4強入りも、昨秋は県2回戦敗退。違うカテゴリーでの手腕に注目が集まる。若き名将の、甲子園という新たな挑戦が始まる。