夏の甲子園中止に伴う高校野球の独自大会が、7月1日開幕の岩手大会を皮切りに、各都道府県で本格的に始まる。

昨夏、大船渡(岩手)のエースとして全国で最も注目を集めたロッテ佐々木朗希投手(18)も29日、最後の夏を迎える高校3年生たちにエールを送った。君たちには素晴らしい未来が待っている。コロナに翻弄(ほんろう)されながらも、球児たちの夏がようやくやってくる。

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朗希は、3年生球児たちの心中を察しながら、慎重に言葉を選んだ。

「高校最後に成果を見せる場所が用意されずに引退することになる(他部の)同級生もいると思います。野球は大会が開催されるようになった。それぞれがいろいろなことを感じてほしいと思います」

昨夏、全国で最も注目される存在だった。岩手大会は4試合に登板し、29イニングで51奪三振。防御率0・62で、公式戦最速の160キロもマークした。

圧倒的な能力を示しながらも、孤高ではなかった。決勝で甲子園の夢が破れても「大船渡高校を選んで良かったです」と気丈だった。幼少期からの仲間たちと笑い合い、高め合い、甲子園や球速以上に大切なものもたくさん手に入れた。青春の偉大さを知っている。

大好きな大船渡野球部の後輩をはじめ、白球を追い続けた全国の3年生たちに敬意を表した。

「高校3年生にとって最後の大会となりますので、思う存分、野球を楽しんでもらいたいと思います。最後(の夏)に甲子園という目標はなくなりましたが、この先には素晴らしい未来が、皆様には待っていると思います。素晴らしい未来に向けて、この3年間の積み重ねを忘れずに、これからも頑張り続けてください」

負けてはいられない。現在は1軍に帯同しながら、肉体を整える。ノースロー調整を続けながら、デビューの時に備える。全ては、素晴らしい未来のために。【金子真仁】