ドラフト候補が実力の一端を見せつけた。新潟アルビレックスBCのクローザー前川哲投手(24)が8回表に登板。1安打1三振の無失点に抑え、今季最速の153キロを2度マークしNPB入りへアピールした。試合は群馬ダイヤモンドペガサスに2-3で敗れた。

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右横手から繰り出す前川の直球が、捕手・斎藤優乃(21)のミットに力強く収まる。「順調に仕上がっている」。手応えは数字に表れた。8回表2死、工藤陽平(24)に投じた2球目の直球はスピードガン表示で153キロ。次の直球はボールだったが、連続で153キロをマーク。最後は工藤を空振り三振に仕留めてマウンドを降りた。

自己最速は昨季マークした154キロ。今季3試合目で最速に迫る数字を出した。2-3と追い上げムードでのマウンドには、清水章夫監督(44)に「勢いをつける投球をしてこい」と言われ上がった。「自分もそのつもりだった」。ネット裏でNPB複数球団のスカウトが視察する中、力勝負でチームに活を入れた。

この日はスコアに関係なく最終の1回を投げる予定だった。今季2セーブ目を挙げた福島レッドホープス戦(24日)以来の登板。中4日の間に行われた2試合で出番はなかった。それでも「いつでも投げられる準備はしているので」と気にしていない。

昨季途中に先発から抑えに回り、上手から横手にフォームを改造。抑えとして本格的にコンディション作りをするのは6年目の今季が初めて。登板のない日でも試合後に10分の有酸素運動をするなど、体調維持は万全だ。

最速更新の自信はある。「でも、大切なのは試合に勝つこと。その結果として球速が上がればいい」。こだわりを勝利につなげることで真のアピールをする。【斎藤慎一郎】

○…1番菊地悠人右翼手(24)が6回裏2死満塁から左前に2点適時打。「タイミングを徐々に合わせながら打てた」と笑顔を見せた。1番は今季初。俊足巧打が売りだけに「やはり1番でいきたい」とアピールした。

○…ルーキーの大橋輝一内野手(18=北越高出)が9番三塁手で初スタメン。2回表の守備で三塁強襲打が安打に。「グラブに当たった。自分の中では失策」。その後は2度の守備機会をこなした。打撃では6回裏のチャンスに代打を送られ2打数無安打。「ああいう場面で任せられるように」と課題を見つけた。