山賊が首位攻防戦に猛プレッシャーをかけ続ける。オリックス6連戦初戦、プロ19年目の西武栗山巧外野手(36)が、4回に先制V打を放った。前打者の中村が一塁強襲(記録は失策)でつくったチャンス。ロースコアゲームの展開で、ベテランコンビの勝負強さが光り、4連勝を収めた。ロッテ、楽天の首位攻防のすぐ後ろで手堅く勝利を収め、首位浮上を狙う。

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鈍い打撃音と一緒に、打球を押し込んだ。栗山は4回2死満塁のチャンスを一撃で仕留めに掛かった。3回まで無安打のアルバース。初球スライダーを詰まらせながら、中堅と遊撃の間にポトリと落とす、先制2点適時打。硬直状態を打ち破り、一塁上で「ヨッシャー!」と叫び、手をたたいた。「打った瞬間、落ちるんちゃうかなっていう期待はありました」。これが決勝打となった。

出ばやしを復活させていた。ここ数年は登場曲を採用せず“無音”こそ栗山の登場曲だった。無観客での開催が決定し、開幕前の練習試合から「無観客で練習試合も行われて、公式戦も無観客。自分の中でのテンポ、リズムをちょっと変えてみる」。かつて使っていたクレイジーケンバンドの「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」を復活させ、タイトル通りの活躍を見せている。

1週間前の開幕4戦終了時点は、リーグ打撃成績で1位栗山、2位中村とベテランコンビが独占していた。この試合も前打者の中村が一塁強襲で満塁にチャンスを広げ、19年目コンビが先制点を演出。「負けないようにとは思わないけど、なんとかサンペイ(中村)が打ったらいい流れで僕も勢い乗りたいと思いますね」と自然体で結果を残す。

36歳コンビの活躍で4連勝。1位と2ゲーム差の3位に詰め寄った。「2人そろってアカン日も出てくると思う。今は何とか2人そろっていい形で打てたりできている。これを継続していって、願わくば最後までこの調子でいけるようにと思っています」。元気過ぎる2人が、ライバルチームに脅威を与え続ける。【栗田成芳】