20歳の右腕が“大人の投球”で33年ぶりの連勝を飾った。DeNAとの首位攻防戦に先発した巨人戸郷翔征投手が、1回に2点を失いながら2回以降立ち直り、7回途中2失点でチームトップタイの2勝目を挙げた。高卒2年目以内の開幕ローテーションからの連勝は桑田真澄以来、球団史上33年ぶり3人目。24歳の誕生日だった4番岡本和真内野手は、プロ入り初のバースデーアーチを放つなど2安打2打点。6回には右前に技ありの同点適時打を運び“大人の打撃”で勝利に貢献した。

  ◇    ◇    ◇

表情ひとつ変えずマウンドを降りた。戸郷は前回登板の広島戦と同じ7回途中での降板となったが「チームのためにというのもあります。悔しいですけどそれを押し殺した」とポーカーフェースを貫いた。まだ試合が続いているグラウンドで、むやみに感情を表に出すことはない。ベンチに戻って初めて悔しがった。

96球を投げて先発の役割を果たしたが、初回はちょっぴり背伸びをした。先頭から連打を浴び、佐野の犠飛、宮崎の適時打でいきなり2点を献上した。「長いイニングを投げたい。あんまり飛ばし過ぎないっていうのも考えながらやった」。少ない球数を意識するあまり、コースに投げ切れなかった球を捉えられた。

2回以降は開き直り、6回まで無安打に封じる別人の投球を披露した。特に5、6回は、恐れずストライクゾーンに投げ込み、打者7人に対して4度1球で打ちとった。「チームのためにやってるんだっていうところで、1つ気持ちを入れ替えた」と恐れを払拭(ふっしょく)した。7回途中2失点で、高卒2年目までの開幕ローテ投手として無傷の連勝。球団では堀内恒夫と桑田真澄に続く3人目の記録となった。

“大人”になったのは投球だけではない。4月4日に20歳の誕生日を迎え、ちょっとした息抜きを覚えた。高田から誕生日プレゼントにスタンドビールサーバーをもらった。缶ビールなどをセットすればクリーミーな泡が出る。たしなむ程度に楽しんでいる。昨季優勝を決めた9月21日DeNA戦にプロ初登板初先発した夜、ビールかけで浴びたのは炭酸水。そこから大きく成長した。

3カ月前まで10代だった青年は、2カード目の初戦を任されるまでになった。「いろいろな意味が込められていると思う。自覚と責任というのを自分の中で持って。カード頭を取ったら大きい」と力を込めた。階段を1段1段上り、桑田を超える3戦3勝を目指す。【久永壮真】