株式会社NPBエンタープライズは17日、侍ジャパン稲葉篤紀監督(47)の続投を正式発表した。

来年の東京五輪に向けて契約を延長することを正式に要請された稲葉監督は、受諾する考えを示した上で「目標である東京五輪で金メダルを獲得するために全力疾走していきたいと思います。昨年はコロナのニュースを聞くにつれ、もしかしてという思いはありました。自分でコントロールできないので、1年延期と聞いて、気持ちを切り替えないとと思っていた」と話した。

コロナ禍でも公式戦はテレビでチェックしていたそうで「基本的にはプレミア12のメンバーが土台だという考え方に代わりはない。1年延期になったので、柔軟に考えていく必要があると思います」とし、1年延期になったメリットについて問われると「やはり、若い選手、活きの良い選手が出てきて欲しいなという思いはある。ジャパンにとっても野球界にとってもそうですよね」と新星出現に期待した。

23日に五輪開幕1年前を迎える。「正直、気持ちは変わらない。五輪金メダルというところは変わらない。そこに向けてじっくり考える時間をもらえたと前向きに考えています」。ぶっつけ本番になる可能性についても「こういう状況ですので、これは日本だけじゃなく各国一緒だと思う。いろんな想定をして過ごさなければいけないなと思う」と受け止めた。

コロナ禍での野球について「私もプロ野球がなくて試合が見れないのは初めての経験。野球をやってきた1人として寂しい気持ちだった。6月に開幕して、やはり、みなさんが待ちに待っていたという。観客も少しずつ入るようになって、みなさんが少しずつ喜んでいる姿をみて、野球はいいなというのはある」と、野球の良さを再認識した。

東京五輪金メダルで日本中を元気づけるためにも「まずは守りから。スピード&パワーというところは来年の五輪に向けてもしっかりとやっていこうと思っています」と、不変のチーム方針を掲げた。

 

◆稲葉監督のこれまで

17年7月31日 小久保監督の後任として、代表監督に就任。

17年11月 アジアチャンピオンシップで初陣。3戦全勝で初優勝。

18年10月 U23代表を率い、U23W杯(コロンビア)に出場。決勝で敗れ、2連覇ならず。

11月 日米野球でMLBチーム相手に5勝1敗。2大会連続3度目の勝ち越し。

19年11月 プレミア12で宿敵韓国との決勝に逆転勝ちし、初優勝。主要国際大会での10年ぶりVに思わず男泣き。

20年6月 NPBが、21年に延期となった東京五輪までの監督続投で基本合意していると明かす。

 

◆稲葉篤紀(いなば・あつのり)1972年(昭47)8月3日、愛知県生まれ。中京-法大を経て94年ドラフト3位でヤクルト入団。04年オフにFAで日本ハム移籍。06年日本シリーズMVP。07年首位打者、最多安打。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞5度。14年の引退後は日本代表のコーチを務め、17年7月に監督就任。185センチ、94キロ。左投げ左打ち。