スカッと梅雨明けは、ならず…。阪神青柳晃洋投手(26)の好投は報われなかった。

暗転したのは2点リードの7回だ。先頭宮崎に左翼線二塁打を浴び、代打神里に四球。1死一、二塁で代打山下にスライダーでバットの芯を外したが、飛球は無情にもダイブした左翼サンズの前にポトリ…。1点差に迫られる適時打で降板し、救援した馬場がオースティンに同点打を浴びた。5勝目は消え、青柳もベンチで表情を失った。

「7回はランナーを背負って降板してしまいましたし、馬場ちゃんに難しい場面でマウンドを譲ってしまったので申し訳なかった。神里に対して四球を与えてしまったのが一番の反省」

またもや「雨柳(あめやぎ)さん」の本領を発揮した。この日、近畿地方は梅雨明けが発表されたのにプレーボールの約30分前、豪雨が甲子園を襲う。登板日の荒天が多くチーム屈指の雨男だ。同僚から「雨柳さん」と呼ばれるだけに慣れたもの。アクシデントも「(雨は)上がると分かっていた。あとは何時になるかだけ。そこまで変わりはなかった」と動じなかった。

立ち上がりから内角シンカーやツーシームと外角に逃げるスライダーなどを駆使して手ごわい打線を手玉に取った。3回まで無失点の時点で、防御率1・64で巨人菅野を抜いてセ・リーグトップに浮上。「序盤はいい形で投げられた」と話した。矢野監督も「完投ペース。ちょっと梶谷がタイミングが合っている感じだったので、あそこ(継投)は勝負」と説明した。

7回途中降板の3失点で防御率も2点台に入ったが充実ぶりを示した。この日、傘を差したイラストが映える「雨柳さん」フェースタオルの店頭販売が始まって即完売。客席でも目立ち「すごくありがたい」と感謝した。虎党の期待を背負い、夏空でも活躍を期す。【酒井俊作】