大御所芸能人のデヴィ夫人(80)が愛する福島で人生初の始球式を行った。「西会津町マッチデー」と銘打たれたBC福島レッドホープスの公式戦にスペシャルゲストで登場。ド派手な投球を披露し、スタンドに集まった317人の観衆を沸かせた。

デヴィ夫人はチームの赤色ユニホームに袖を通し、ラッキーナンバーという「11」を背負い、悠然とマウンドに向かった。左手にグラブははめず、右手でボールをわしづかみ。目いっぱいに腕を振ったが、球はマウンドから5メートル付近に落下し、地面を転々としながら捕手のミットに届いた。「もっと投げられるかと思ったわ。ちゃんと練習すれば良かったわ。0点以下でしょ。ホッ、ホッ、ホッ」と豪快に笑い、さっそうと球場を後にした。

凱旋(がいせん)登板だった。太平洋戦争中の幼少期に、福島・浪江町に疎開した。終戦後も夏休みには帰郷して過ごした。「43県ある中で一番好きな場所。始球式で呼ばれたことはうれしく思うわ」と喜んだ。11年の東日本大震災で同地が多大な被害を受けたことに、「とても心が痛かったわ」。被災地で炊き出し活動を行うなど、精力的に復興活動にも協力した。縁は深く、今も「福島愛」でいっぱいだ。

今年はコロナ禍の影響で世界中が見えない敵と闘っている。「人々の生活が一変してしまったわよね。(レッドホープスの選手には)名前の通り希望を与えてほしい。癒やし、励み、勇気を届けてください」とエールを送った。【佐藤究】