東芝が12年連続42回目の本戦出場に王手をかけた。

立役者は6年目のサイド左腕、福本翼投手(28=青学大)だ。135キロ前後の直球と変化球を織り交ぜ、テンポよく抑えていった。ポップフライとゴロを打たせ、最少援護で9回へ。先頭に二塁打を打たれ、1死後に右の代打が出たところで交代したが、8回1/3、3安打無失点。「1人ずつ抑えようと。結果、9回まで投げられて良かったです」と喜んだ。平馬監督が「できすぎ。5回までと思っていた」と目を丸める快投だった。

イニング間に工夫があった。投球練習の最初の数球は、マウンドから捕手に向かって駆け降りながら投げる。「(ルール改正で)ベンチ前でのキャッチボールができなくなったので。しっかり足を使って、腕を振るためです」。DeNA今永がやっているのを参考にした。駒大出身の今永とは大学時代、同じ東都リーグで戦った。今でも連絡を取り合う仲だ。「刺激になります。環境は違うけど、同じ野球人として参考になります」と話す。

都市対抗には苦い思い出がある。昨年の本戦は準決勝でJFE東日本に敗れたが、延長でサヨナラ打を打たれたのが福本だった。「悔しさは忘れないようにしてます。今年はエースという存在がいない。全員の力で勝ちたい」と力強く意気込んだ。15日のENEOS戦にも勝てば、本戦出場が決まる。