スタメン譲らん弾!! 阪神北條史也内野手(26)が意地の一撃だ。1回無死一塁。2ボールからの3球目。広島野村の内寄りシュートを強振すると大飛球は左翼へ。幸先のいい先制2ランが大勝劇のプロローグになった。

もともと内角球のバットさばきに定評がある。「チカ(近本)が先頭バッターとしていい形で出塁してくれましたし、カウントもよかったので、その勢いに乗って思い切って打つことができました」。実に7月21日広島戦(甲子園)以来の今季2号アーチだった。

予期しない形でチャンスが巡ってきた。開幕から木浪が遊撃に定着し、ベンチを温める日々だった。8月下旬に2軍降格。厳しい立場だったが、9月25日に状況が一変。二遊間レギュラーの糸原が新型コロナウイルスに感染し、木浪も球団が濃厚接触者と扱って出場選手登録抹消中だ。井上打撃コーチは「これをつかんだチャンスと思えば『これから先の残り試合、全部出るよ』という気持ちは持っていてほしい」と胸中を代弁した。

糸原に代わって慣れない二塁で奮闘中だ。12試合連続スタメンの北條は言う。「前半、全然ダメだった。まだまだ物足りない。もっともっと1打席を大事にして結果を求めたい」。失地回復へ、燃えないはずがない。【酒井俊作】

▼阪神が北條、サンズ、ボーアの3本塁打で、今季のチーム本塁打数が95本となった。昨季は143試合で94本だったが、今季は94試合目で早くも昨季を上回った。1試合1本以上のペースで本塁打が出ており、残り26試合で17年(113本)以来の3桁本塁打もクリアできそうだ。なお、阪神のシーズン最多本塁打は、85年の219本。