#コロナに負けるな ロッテに再び救世主が現れた。1番左翼に抜てきの藤原恭大外野手(20)が3安打1打点1盗塁で、首位攻防戦の勝利を呼んだ。大阪桐蔭時代は18年の甲子園春夏連覇に大きく貢献した“優勝請負人”が、プロでも輝きを見せ始めた。コロナ禍で主力が多く離脱する中、これでついに、首位ソフトバンクとのゲーム差は0に。10日に連勝すれば、いよいよ単独首位に立つ。

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大舞台が似合う。ロッテの1番藤原は直球だけに絞っていた。1点リードの6回2死三塁。「それまで直球でカウントを取られていたので、まっすぐが来る自信がありました」。自慢のフルスイングで、ソフトバンク・ムーアの2球目の直球を右前へ。貴重な3点目の適時打は、この日3本目の安打だった。

青春の甲子園で、数々の修羅場をくぐった。首位攻防戦にも「緊張というよりは、やってやろうという気持ちの方が大きいですね」と頼もしい。初回の初球、ムーアの直球をいきなり振ってファウルにした。「振りに行くことで、自信というか、球も見えてるなと思えました」。6回の適時打の直後は、初盗塁もマーク。リードオフマンの資質を存分に示した。

コロナ禍で主力が離脱し、2軍で鍛え抜いたプロ2年目の終盤にチャンスが回ってきた。1軍昇格の一報には「手汗が…」と明かす。イースタン・リーグ58試合で打率2割3分、75三振。「いい成績とは言えないですが、去年より打席の中で成長してるなというのは感じていました」と明かす。「1軍でも勝負できるんじゃという気持ちは少しありました」。強い当たりのアウトが多かった。

塁上の日焼け顔に、白い歯がまぶしい。栄冠をほしいままにした大阪桐蔭時代も今は昔。高校野球とは、優勝へと向かう雰囲気も少し違う。それでも「ベンチの中や観客やチームが1つになってるのはすごく感じられます」と独特の雰囲気にのまれず、長所を出し切れるのはさすがだ。

何度も故障者が出ては救世主が現れたのが、今季のロッテだ。「もっている選手。彼が(塁に)出るとチームも盛り上がる」と井口監督からの信頼も一気に高めた。逆境をこらえ、いよいよ首位ソフトバンクにゲーム差0まで迫った。若き優勝請負人が、ここから輝き始める。【金子真仁】