広島石原慶幸捕手(41)が16日、マツダスタジアム内で引退会見を行った。球団捕手最多の通算1619試合出場。カープ一筋19年を振り返り「引退を決意して振り返ると、すごく幸せな時間でしたね。今はすごく短く感じます。やっているときはすごく長く感じましたけど、いざ決断してからは短く感じます」とすがすがしい表情を見せた。

01年にドラフト4巡目で広島に入団した。2年目の03年に正捕手の座をつかみ、10年オフは国内FA権を行使せずに残留を決断。長くBクラスが続いた低迷期を乗り越え、16年の25年ぶり優勝から3連覇に貢献した。「3連覇させてもらいましたけど、その中でも25年ぶり優勝が印象深い。3回ともうれしさはありますけど、一番記憶に残っています」。初めて胴上げ捕手となった16年優勝の瞬間は今でも鮮明に覚えている。

今季は7月15日に2軍降格し、8月8日に1軍昇格も出番が増えることなく、引退を決意した。「自分がチームのためになっているのか、なっていないのかを自分なりに考えて。野球選手として力になれないのであれば、引退しないといけないと思っていた」。11月7日阪神戦の引退試合に向けて現在もリハビリを続ける。今後については「ビジョンはまったく決まっていません」と白紙を強調した。【前原淳】

<一問一答>

-球団捕手最多出場

石原 自分の中では必死に過ごした時間だったので、なんでできたのか自分ではよく分からない。幸いなことに大きなケガもなくプロ野球生活を送れたということがありますけど。

-印象に残る投手

石原 誰か1人というのは難しいんですけど、僕の中では黒田さん。投げている姿、存在感は本当に記憶に残っています。

-黒田氏に教えられたこと

石原 チームがどう勝つか、そのために自分が何ができるか、それを一番に教えられた。

-残したいもの

石原 カープはみんなで同じ方向を向いて戦っていくことで勝っていくチームだと思うので、苦しくて、大変なのは分かっていますけど、頑張ってほしい。

-胸を張れる数字は

石原 捕手でもっと偉大な数字を残した人はいっぱいいますし、胸を張れることはないです。

◆石原慶幸(いしはら・よしゆき)1979年(昭54)9月7日、岐阜県生まれ。県岐阜商-東北福祉大を経て01年ドラフト4巡目で広島入り。09年WBC日本代表。最優秀バッテリー賞は3度で、10年、13年に前田健太と、16年に野村祐輔と受賞。25年ぶり優勝の16年はともに自身初のベストナイン、ゴールデングラブ賞に選出。18年には史上最年長の38歳8カ月で通算1000安打。広島捕手では初の1000安打だった。177センチ、90キロ。右投げ右打ち。

▽広島元投手・黒田博樹氏 僕自身も現役時代はたくさん助けてもらった。言葉で伝えるのは難しいが、サイン交換の指先1つで、こちらに安心感を与えてくれるキャッチャーだった。常に縁の下で支え、若い投手を育てることを心がけていたと思う。激務の捕手を長く続けるのは大変なこと。19年間、務め上げたことは称賛に値すると思います。

▽日刊スポーツ評論家の和田一浩氏 県岐阜商、東北福祉大の後輩で、プロ入りした唯一の後輩だった。最初に会ったのは福祉大の寮で、プロ入りできそうだということで、関係者から紹介されたのを昨日のことのように覚えている。先輩から見ると、とても人なつこくかわいい後輩であったが、プレーはしっかりしていていいキャッチャーだった。理論もしっかりしていて、いい指導者になれると思う。お疲れさま!

▽広島会沢 僕のプロ野球人生の中ですごく影響を受けた先輩の1人ですし、寂しいです。一緒にやってきて、いろんなことを教えてもらって、今は一言では表しきれない感情があります。黒田さん、新井さんから流れてきているいいところは若い子に引き継いでいければと思います。