これが、ドラフト1位候補の実力だ。26日のプロ野球ドラフト会議を前に、上位指名候補が先発そろい踏み。1位競合が確実視される早大の最速155キロ左腕・早川隆久投手(4年=木更津総合)は立大打線に3安打12奪三振で、1-0完封勝利を収めた。慶大・木沢尚文(4年=慶応)法大・鈴木昭汰(4年=常総学院)両投手の投げ合いは、ともに勝ち負けつかず、試合は慶大が逆転勝ち。優勝争いは、慶大、早大の2大学に絞られた。

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早川は珍しく感情をあらわにした。1-0の7回、四死球から2死一、三塁を招く。立大・敷名に対し、カウント2-2からの5球目。「0で抑えないと攻撃にリズムがつながらない。自分が出したランナー。自分で切り抜けることで勢いがつく」と三振を狙った。カットを大きめに曲げ、低めに落とす。空を切らせ、マウンドで跳びはねた。

球種には根拠があった。3球目、スライダーで2ストライク目を取ったが、高めに抜けた。「低めに、たたき気味に。(捕手)岩本を信頼しました」と抜けるリスクを考え、スライダーではなくカットを選んだ。ワンバウンドの後逸で同点もあったが、通常より大きく変化させ、バットに当てさせなかった。小宮山悟監督(55)から「『低め、低め』と念じなさい」と言われていた。意識の徹底が、勝負どころで生きた。

12を上乗せし、通算259奪三振。絶好調の今秋、奪三振率は14・64。尊敬する先輩、和田(現ソフトバンク)が早大史上最多95奪三振を挙げた4年(02年)春の13・29を1以上、上回る。「和田さんの(リーグ最多記録)476奪三振を抜かしたい」と、大学でのキャリアをスタートした。通算こそ及ばないが、率は匹敵以上。「比較されるだけ光栄です」と控えめに喜んだが、小宮山監督からは「(近大・佐藤が)10年に1人の野手なら、早川は和田と比較ですから、20年に1人。頼もしい」と、同じ1位競合候補を引き合いに、たたえられた。運命の日まで、あと2日。「明日も勝ちきって、ドラフトを迎えられるように」と口元を引き締めた。【古川真弥】

▽立大・溝口智成監督(早川の前に3安打12三振の完封負け)「ボールが先行しない投手。対策として若いカウントから捉えようとしたが、それを上回る投球でした。投手は上向いているが、打線が下降している」

▽立大・中川颯投手(下手投げのドラフト候補は4回を3安打1失点)「ドラフトは意識せず、明日も与えられた仕事を全うしたい。間とか緩急を工夫して投げています。なんとかゼロに抑えて攻撃につなげたい」