中京(岐阜)の二刀流・元謙太(げん・けんだい、3年)がオリックスから2位指名を受けた。「ずっと上位指名でプロに入ることが目標でしたから、正直ホッとしています」。ウエーバーの1番手で名前が挙がった喜びもあり、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。多治見市立池田小の卒業文集から書き続けた「ドラフト3位以内の指名」という目標を現実にした。

広島の鈴木誠也が理想の野手というが、オリックスには最高のお手本がいる。吉田正尚。「僕は長打力が持ち味と思っていて、吉田選手に負けないパワーをつけたい」。自身の長所の1つが、つぼにはまった時の飛距離。1年秋の東海大会の東邦戦で放った場外弾が過去最高の手応えだが、もっとライナー性で遠くへ-。そのために吉田のティー打撃の動画を見て、打ち方を学び、参考にしてきた。

最速144キロを誇る右腕でもあるが、野手1本で勝負する。もともと外野経験はある。今夏の岐阜県独自大会終了後は遊撃手の練習を始めた。高校通算18発のパンチ力、遠投110メートルの強肩、50メートル5秒9の俊足。走攻守のどれをとってもハイスペックで、身長186センチ、体重85キロという恵まれたサイズもある。

親譲りだ。父吉宏さん(51)は188センチ、新潟・巻で4番打者として北信越大会優勝経験を持つ。母淑美さん(48)は176センチ、東海大バレーボール部で鳴らした。3歳上の兄勇太(ゆうだい)さんは190センチ、中部学院大バレーボール部で将来は教員か、Vリーグ2部に進むか迷っている。「家族で、男では僕が一番背が低い」と笑う“大家族”が元のバックボーンだ。

「野球ファンの人が、ポンと名前を出してくれる。そんな選手になりたいです」。記憶に残るスーパー野手への挑戦が始まった。