ロッテが西武との直接対決を逆転勝利で制し、4年ぶり7度目のCS進出を決めた。コロナ禍で変則120試合制となったシーズンの、119試合目のことだった。

山あり谷あり、まるでジェットコースターのような2020年だった。

1月、いきなり12球団の主役になった。最速163キロ右腕・佐々木朗が19年ドラフト1位で入団。新人合同自主トレ、石垣島キャンプと注目を浴び続けた。

オープン戦が始まり、3月には阪神を退団した鳥谷が電撃入団。開幕1軍入りも見えかけたころ、コロナ禍で活動休止となった。佐々木朗はシート打撃で160キロを投げた。

6月に開幕すると、チームは福田秀を故障で欠きながら、開幕2戦目から破竹の8連勝。変則シーズンならではの同一カード6連戦で、オリックスにいきなり6連勝するなど、勢いに乗った。

7月上旬に黒星が増え始めると、負は連鎖する。8回のマウンドを託していたジャクソンが電撃退団になると、直後に大麻所持容疑で逮捕された(後に不起訴処分)。レアード、種市と投打の主軸が故障で戦線離脱し、7月下旬にはしばらく4位に停滞した。

8月に持ち直した。16勝8敗2分け。俊足和田の3安打3盗塁3得点デビューに、ベテラン鳥谷の激走でのサヨナラ勝利。唐川が「7回の男」として定着し、無失点を続けた。8月21日には1日だけながら、ソフトバンクを抜いて単独首位に再浮上した。

9月上旬には、沢村が巨人から電撃トレードで加入。入団会見当日にマウンドに上がり、3者三振の衝撃デビューを飾った。一方、正捕手の田村が右手指に死球を受けて離脱。その後、荻野が故障から復帰した。フルメンバーが一度もそろわないシーズンだった。

10月に悪夢が待っていた。4日、5日と立て続けで、選手ら10人以上に新型コロナウイルスの陽性判定が出て、荻野や藤岡といったレギュラー組も療養へ。残り30試合を切り、2位を確保するための大事な時期に大きな痛手となった。

その中でも将来の1番候補・藤原が台頭。チームの連敗が立て込む中、持ち前のフルスイングで打線を必死にけん引した。一方で年間を通じチームの精神的支柱になったマーティンが、10月20日に故障。今季中の復活が厳しくなり、打線の得点力が著しく低下。ずっと守ってきた2位の座も、ついに陥落した。

シーズンを通して、突出した成績を残す選手はいなかった。耐えて粘って、なんとか119試合目で抜き返した。CSでぶつかるソフトバンクは強い。井口監督も「選手層は厚いですし、経験値も含めて我々よりはるかに上だなというところですね」と話したことがある。ただ2020年のロッテが、このまま淡々と終わるとは思えない。さらなるドラマの予感が漂う。【金子真仁】