中日大野雄大投手(32)がFA宣言せずに、来季チームに残留することを11日、マツダスタジアムで表明した。

球団とは3年契約9億円プラス出来高払い(金額は推定)での契約交渉がほぼ合意。メジャー志向のある左腕に対して、球団側は来季以降のメジャー挑戦も考慮に入れながら、近日中に正式契約を交わす方向だ。

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左腕エースの口から中日愛がほとばしった。

「ドラゴンズで優勝したい。決めるのが早過ぎと思われるかもしれないが、投げる度にどんどん(残留の)気持ちは強くなった。チーム編成のこともある。早めに決めれば、球団も助かる」

今季、国内FA権を取得。昨オフ単年契約を結び、阪神などがその動向に注目していたが、今オフの権利行使よりも中日への恩義が上回った。10年ドラフト1位で中日に入団。ルーキーイヤーの11年は左肩の故障で、中日最後のリーグ優勝時のピースになれなかった。「ケガをして大学最後のリーグ戦で1球も投げられないままドラフトで1位指名していただいた。チームを優勝に導くことが恩返しだと思う」と続けた。

今季は11勝6敗で、チームの8年ぶりAクラス入りをけん引した。2年連続の最優秀防御率賞も決定。「来年も貪欲に防御率のタイトルを狙っていきたい」と意気込む。148三振で奪三振王もほぼ手中。10完投6完封と初の沢村賞受賞も視野に入れる。

メジャー志向の強い大野雄は、今季の好成績を受け、MLB複数球団が注視していることが報道されたばかりだ。残留を決めた左腕に球団も契約以外に最大級の誠意を見せる。原則として3年契約を結ぶが、V奪回が成就すれば、契約途中でもメジャー行きを考慮する方向だ。

エース残留は最大の戦力補強になった。来季球団創設85周年を迎え、11年以来10年ぶりのV奪回は至上命令。大野雄が来季も竜の悲願へ腕を振り続ける。