リーグ3連覇と日本一奪還へ、巨人原辰徳監督(62)がサプライズ人事を発動した。12日、巨人はOBの桑田真澄氏(52)の1軍投手チーフコーチ補佐への就任を発表した。リモート会見に同席した原監督は、入閣は自らの発案だったことを含めた経緯を説明。今季の組閣は既に発表済みだったが、チーム強化と伝統の継承のため、キャンプ直前のこの時期に新たに桑田氏の名前を加えた。既成概念にとらわれず、大胆かつ柔軟に強化策を講じていく。

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桑田氏の隣に座った原監督は、終始うれしそうだった。「新年早々、春から縁起がいいという部分で、非常にいいニュースを発信することができることになりました」。引退後はグラウンドを離れていた桑田氏を、1軍投手チーフコーチ補佐として15年ぶりに巨人に招き入れた。「強い味方が、強い同志が1人加わったという点では、大変喜んでおります」と目を細めた。

チーム強化と球団の伝統を今に継承すべく、白羽の矢を立てた。「野球人として人間力、生き様に非常に私自身も興味がある。私自身も勉強になる人だと思いました。ぜひ、そういう人にスタッフに入ってもらって、ジャイアンツをつなげて育てていってもらいたいと思いました」。今季の組閣は発表済みだった。それでも「持論は常に、今日より明日。明日になれば明日より明後日。OBで野球人として非常に魅力がある人がユニホームを着られる環境にあった。いい環境の中で、彼を誘うことができる環境が整った」と機を逃さず動いた。

昨年12月28日に山口オーナーに入閣を相談した。宮本投手チーフコーチからも同意を得、年明け5日に桑田氏に直接思いを伝えた。「水得た魚(うお)のごとく目を輝かせて話を聞いてくれた」と快諾を得た。背番号はドラフト時に自らを引き当て、桑田氏も尊敬する藤田元司元監督が背負った「73」になり「ちゃんと空いていたんですね。自然の流れの中で、なるべくしてなってくれたのかなと」と、必然を感じ取った。

現役時代、174センチの体全体を意識して投げ込む「投手・桑田」の背中を見てきた。「プレーをしていない桑田真澄という選手を見た時、何とも頼りない選手が入ってきたなと。体も大きくないし細身でしたしね」と懐かしむと、表情を引き締めて続けた。「ボールを投げると、こんなに大きなピッチャーはいませんでした。小手先で野球をするという言葉がありますが、そういうことがない。体も年々大きくなっていった。そういうものを今の選手たちに教えてもらいたい」と、大きな期待を寄せた。【浜本卓也】

◆第3次原政権のサプライズ人事

幕開けとなった19年には、主にタレントとして活動し、コーチ未経験だった宮本和知氏を1軍の投手総合コーチに、元木大介氏を1軍内野守備兼打撃コーチに抜てき。将来の指導者育成も見据え、引退直後の村田修一氏と杉内俊哉氏を2軍のコーチ陣に据えた。昨季は前年に1軍投手コーチを務めた水野雄仁氏をスカウト部門に配置転換。全国各地に小中学生をマークするOBスカウト21人を配置した。シーズン終盤の昨年9月には、元木ヘッドが虫垂炎手術で入院すると阿部2軍監督を1軍に呼び、ヘッドコーチ代行に配した。

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