2軍の成績に満足するな! 高卒2年目の阪神井上広大外野手(19)が年末年始に母校履正社で自主トレを行い、昨季に4番で起用されたロッテ安田尚憲内野手(21)から「1軍で成績を残してナンボ」とゲキを飛ばされた。昨年はウエスタン・リーグで存在感を見せたが、先輩の忠告を胸に1軍スタートが内定している春季キャンプで大暴れする。

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先輩の言葉に、新年早々に気持ちが引き締まった。井上は母校の先輩であるロッテ安田からこんな言葉をかけられたという。4日のことだ。「ファームの成績は1軍に上がるための成績として見たら関係あるが、ファームで成績が出てもあまり意味がない。1軍で成績を残してナンボ」。2学年上の先輩は、同じ高卒からの入団に大型スラッガー、将来の4番候補と共通点は多い。意識の高さに、背筋が伸びる思いだった。

安田は昨季、1軍で自己最多の113試合に出場。87試合で4番に抜てきされた。一方、井上の昨季はウエスタン・リーグで69試合に出場。全試合で4番に起用される英才教育を受けた。1軍では6試合に出場してプロ初安打も記録したが、11打数1安打とレベルの差を痛感した。「安田さんは『我慢をして使ってもらっていた』と言っていました。あの人でそのレベル、立ち位置なら、自分はもっと頑張らないといけない」。安田のリアルな言葉が、刺激になった。

矢野監督は井上の1軍キャンプスタートを明言している。アピールに向け、秘密兵器のエンゼルス大谷バットも準備中だ。現在は安田モデルを使っているが、「バットは商売道具」と特別なこだわりを持つ。理想の1本を求めてプロ入りから広島鈴木誠らさまざまな選手のモデルを試し、今オフには中日福留や楽天浅村のモデルも試した。さらには同じメーカーの大谷モデルも発注。「身長が大きくて手足も長いし、自分と体格が似ている。いろいろ試したいので」。手元に届き次第、感触を確かめて2月1日のキャンプインに備える。

今季の目標には、「全てをやりきること」を掲げた。外野のレギュラー争いは新助っ人にベテラン、中堅と激戦だが、貪欲につかみ取る。【奥田隼人】

【井上と履正社OBアラカルト】

◆履正校鳴賞 高校卒業時、学業や部活で優秀な成績を収めた生徒に贈られ、オリックスT-岡田やヤクルト山田らも受賞した「履正校鳴賞」を受賞。

◆山田哲から激励 プロ入り前に「自分より体が大きいから、絶対にホームラン王を取れる」とエールを送られた。

◆安田バット 虎風荘へ入寮する際、先輩安田から譲り受けたバットを持ち込んだ。

◆坂本とタオル 昨夏に「2020年甲子園高校野球交流試合」に挑む後輩たちへチームメートの坂本とタオルを贈った。

◆履正社対決 昨年10月18日ヤクルト戦(甲子園)で3学年先輩の左腕寺島と初対戦。大飛球を飛ばすも左飛に打ち取られた。

【安田プロ入り後の歩み】

◆1年目(18年)オープン戦では1軍で8試合も、開幕は2軍。7月にイースタンで3割5分4厘と結果を残し、初の1軍戦は8月10日オリックス戦で「7番・DH」でのスタメン。オフにはU23W杯に出場しMVPを受賞した。

◆2年目(19年)1軍公式戦出場を果たせずに終わる。2軍では122試合に出場し19本塁打、82打点で2冠を獲得。11月には秋季キャンプに参加せず、プエルトリコのウインターリーグに派遣され武者修行。着実に力をつけた。

◆3年目(20年)初の開幕1軍を勝ち取った。7月21日西武戦では4番に抜てきされる。井口監督の粘り強い起用を受け、チーム最多の87試合で先発4番を務めた。打率2割2分1厘と平凡な成績ながら、初の規定打席到達。6本塁打、54打点の成績を残した。