バリバリ現役のメジャー野手が、続々と日本球界にやってくる。巨人にはジャスティン・スモーク内野手(34=ジャイアンツ)とエリック・テームズ内野手(34=ナショナルズ)、ヤクルトにはドミンゴ・サンタナ外野手(28=インディアンス)、ロッテにはアデイニー・エチェバリア内野手(31=ブレーブス)が加入。2月のキャンプインを前に、米データサイトを元に4人のカルテを作成し、打撃傾向を分析した。

  ◇   ◇   ◇

メジャーの主力が日本でプレーすることは、今や珍しくなくなってきた。昨年は通算282本塁打のジョーンズがオリックスに、ナショナルズのワールドシリーズ制覇に貢献したパーラが巨人に加入。潮流となりつつある。

年俸とプレー機会の確保が理由と考えられる。スモークの昨年の年俸は400万ドル(約4億2000万円)。成績を考慮すれば、メジャーなら1年契約で年俸1億~2億程度で、レギュラーも確保されない。巨人とは推定年俸300万ドルの2年契約で、総額では約6億3000万円。コロナ禍で財政が厳しいMLB球団に比べ、破格の条件だ。

昨季のメジャーは異例の60試合制で、今季こそ162試合を目指しているが、コロナ感染者が急増している米国の事情を考えれば不透明。日本なら、金銭面でも環境面でも米国より確実性がある。“バリバリ”の日本進出が加速するかもしれない。【斎藤庸裕】

 

<巨人スモークの打撃傾向分析>

【状況別】両打ちのため左右投手で差はないが、打率の低さが課題。カウント別で見ると、初球の打率が高く、早打ちの傾向あり。バッター有利のボール先行でも比較的、打率が上がる。昨季は出場機会が少なく、全体的に率が低いが、通算では変化球より直球系に比較的強い傾向がある。

【打球方向】通算での打球分布に比べ、直近は引っ張り傾向が強い。

◆ジャスティン・スモーク 1986年12月5日、米サウス・カロライナ州生まれ。08年ドラフト1巡目(全体11位)でレンジャーズ入団。10年にメジャーデビュー。ブルージェイズ時代の15年から5年連続で2ケタ本塁打をマークし、17年には打率2割7分、38本塁打、90打点で球宴にも出場した。193センチ、99キロ。左投げ両打ち。推定年俸は3億1500万円。

 

<巨人テームズの打撃傾向分析>

【状況別】昨季は全体的に打率が低いが、通算では左投手に対して特に分が悪い。スモークと同様、初球の打率が高く、早打ちの傾向あり。2ストライク後にガクッと打率が下がる。近年の傾向から判断すると、変化球全般を苦手としている。

【打球方向】逆方向への打球は少ないが、センター方向への打球が比較的多い。

◆エリック・テームズ 1986年11月10日、カリフォルニア州生まれ。08年にドラフト7巡目でブルージェイズに入団し、11年にメジャーデビュー。14年に韓国プロ野球(KBO)NCに移籍し、15年には47本塁打、40盗塁でKBO史上初の「40・40」と2度のサイクル安打を達成した。180センチ、106キロ、右投げ左打ち。推定年俸は1億2600万円。

 

<ヤクルト・サンタナの打撃傾向分析>

【状況別】初球、1ストライク後、ボール先行の打者有利な状況では率が高い一方で、追い込まれた後や、ストライク先行では打率が急激に落ちる。直球系に比較的強い傾向があるが、変化球に課題があり、特にフォークなどの落ちる変化を苦手としている。

【打球方向】センター方向中心の打球が持ち味だが、昨季は引っ張りが強い傾向が見られた。

◆ドミンゴ・サンタナ 1992年8月5日、ドミニカ共和国生まれ。14年、21歳の時にアストロズでメジャーデビュー。ブルワーズ時代の17年に打率2割7分8厘、30本塁打、85打点で自己ベストをマークした。19年はマリナーズに所属し、開幕戦で来日。右翼へ満塁本塁打を放った。196センチ、105キロ。右投げ右打ち。推定年俸は1億500万円。

 

<ロッテ・エチェバリアの打撃傾向分析>

【状況別】初球打ちの打率が高く、直球系と変化球の打率で比較的、差がない。通算では落ちる変化球への対応に優れている傾向があったが、昨季は打率を落とし、逆にカーブやスライダーの横変化に対応した。長打力に欠けるが、三振が少ない。

【打球方向】全体的に偏りはなく、バランス良く全方向に広角に打ち分ける傾向あり。

◆アデイニー・エチェバリア 1989年4月15日、キューバ生まれ。12年にメジャーデビュー。13年から16年までマーリンズの正遊撃手として活躍し、15年は自己最高の打率2割8分1厘をマーク。守備に定評があり、二塁、三塁も経験がある。18年はレイズ、パイレーツ、ヤンキースの3球団でプレーした。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。推定年俸は1億円。