ソフトバンク和田毅投手(39)が「長寿トレ」で40歳での規定投球回&2桁勝利に突き進む。14日、長崎市内で自主トレを公開。2月に40歳になるチーム最年長は初めて「ピラティス」を導入した。各スポーツ界で、長年活躍した選手らも取り入れたトレーニングでけがに強い体を作り、全盛期ばりのフル回転を誓う。

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和田が苦悶(くもん)の表情を浮かべながら“地味”なトレーニングをひたすらこなした。練習開始から2時間。ボールを握ることも、グラウンドを走ることもなく、「ピラティス」を淡々と続けた。「自分の動きの癖が出てしまう。それをしないように動こうと思うとすごくきつかったり、動けなかったりする。自分ではこう動いているつもりでも実際は全然違う、そういうことがかなりあった」。見た目以上に、体にかかる負担は大きいという。

2月に40歳になるベテランは誰よりも自身の体に繊細に、真摯(しんし)に向き合っている。「もう1度細かいところ、股関節、体幹の可動性、使い方というのを見つめ直さないといけないなと。年齢的なことを考えても。そういうのを今のうちに知れたのは大きい」。17年に左肘、18年に左肩を痛め苦しんだ。よりけがに強い体を求めて、出会ったのがピラティスだった。

MLBで45歳までプレーしたイチローや、40歳の年に15勝を挙げたカート・シリングもピラティスを導入。ゴルフでは現在45歳のタイガー・ウッズ、NBAでも40歳まで現役だったジェイソン・キッドも取り組んでいた。スポーツ界で長く活躍してきた選手たちに愛された「長寿トレーニング」だ。和田は「効果は確実に、少しずつでも出ていると思う。継続して、キャンプとか1年を通じてやっていけたら」と手応えを感じている。

同世代は昨年、阪神藤川らが引退して西武松坂と2人だけになった。昨季8勝を挙げて復活した和田はオフに2年契約を結び、まだ止まるつもりはない。「規定投球回と2桁(勝利)は目指していきたい数字。自分に甘えることなく、上を目指して自主トレ、キャンプを過ごしていきたい」。掲げた目標はともに最多勝に輝いた16年以来で、40歳でクリアすればパ・リーグ初となる。さらなる高みを目指し、自分を磨く。【山本大地】

◆ピラティス 1900年代初頭にドイツ人従軍看護師のジョセフ・ピラティスが開発。第1次世界大戦の負傷兵のリハビリ用エクササイズだった。いわゆる筋力トレーニングとは違い、ヨガのようにメンタル面や呼吸法を活用し、肉体を酷使することなく体幹を鍛えられる。動作の無駄がなくなり、故障しにくくなるなど効果が期待されている。

<和田の過去の異種目トレーニング>

◆やり投げ 05年に母校早大で。大学の同級生でもある土橋トレーナーは「肘、肩、腕の使い方で、投げる瞬間に力を抜かせる練習です。カーブを投げるときにも役に立つ」。

◆アーチェリー 07年に宮崎で。「1点に集中するということは投球に通じる。ここぞという時は集中力が必要だから」。

◆カヌー 09年に宮崎市内の大淀川で。「体幹、バランス感覚を鍛える上でいいので。腕だけではだめなんです。野球と同じですね」。

◆ハンマー投げ 11年に鹿児島で。「パワーアップ」をテーマに、食トレと並行して取り入れた。

◆座禅 オリオールズ時代の12年に滋賀の比叡山延暦寺で。後輩の大場と雪道をランニングするなど、精神強化に努めた。