学童軟式野球チームの泉ダイヤモンドキッズ(仙台市泉区)が「子どもファースト」を活動理念に掲げ、東北学童野球界に新風を吹かせている。昨年2月に泉区内の3チーム合併で誕生し、部員26人が所属。経営母体の泉ベースボールクラブ木村光男代表は「三振や失策などの失敗をしても前向きになれる選手を目指す。将来的にはプロ野球だけでなく、社会の4番打者を担うような人材を育成したい」と指導方針を語った。

勝利至上主義から脱却し、近未来型の運営で選手を後押しする。伊藤伸有監督は「野球は学童世代から始める子が多い。勝つことも大切ですが、指導者が怒鳴って野球が嫌いになったり、つまらないと思わせたくない」と、練習や実戦での空振り三振や失策などは責めず、優しく指導することを信条とする。大西梨歩内野手(寺岡小6年)は「前向きに挑戦することをほめてくれるので、失敗を恐れずに野球ができる」と元気にプレー。1年目の昨年は同区内の新人戦優勝から仙台市大会3位などの結果を残した。

チームは保護者の負担を減らすことにも重点を置く。保護者会は設置せずにお茶当番、審判業務、練習手伝いなどを強制しない。原則、運営側が選手を試合会場や練習場まで送迎し、公式戦などの球審なども務める。そして同クラブでは中学軟式野球チームも設置。中学体育連盟が定めるガイドラインでは土日のどちらかは部活動ができないため、仙台市内6中学の生徒が技術向上を目的に練習や公式戦に参加する。

また昨年は兄弟チーム、八戸ダイヤモンドキッズ(青森・八戸市)の選手が楽天ジュニアに選出され、年末のNPB12球団ジュニアトーナメントに出場した。木村代表は「泉でも楽天ジュニアに選ばれて、将来的には甲子園出場、プロ野球選手になる選手を輩出できたらうれしい」。少子化の影響で同区内にあった20以上のチーム数は、15チーム未満まで減少。新たなスタイルで子どもを成長させるロールモデルとして、変革を続けていく。【相沢孔志】