野村さん、頑張ってます-。野村克也氏が昨年2月11日に84歳で亡くなってから1年。春季キャンプでは、正捕手候補から若手まで、12球団の扇の要たちが、それぞれの課題を胸に鍛錬に励んでいる。

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<楽天>

“マー君の女房役争い”が激しい。8年ぶりに古巣に復帰した田中将のキャンプ初ブルペンは、昨季チーム最多67試合に出場した太田が受けた。光山バッテリー兼守備戦略コーチの提案を石井GM兼監督が了承し実現。3年目の太田は「内角高めにカットボールではなくスライダーなど、僕に無い発想が会話の中で見つかることもありました」と、右腕の言葉から幅を広げていた。

9日の2回目のブルペンは下妻がマスクをかぶった。首脳陣は1軍キャンプメンバーの捕手全員に田中将のブルペン投球を受けさせる考え。今後は、巨人から昨年トレード加入した田中貴、5年目の石原が控える。新指揮官は「今の時代、1人で守りを1年間通してやるというのはあまり理にかなっていない」と“軸捕手”を決めながら、複数人の捕手起用を見据える。田中将をはじめ、涌井、岸、則本昂、早川らを支える扇の要が、浮上へのカギを握る。

<ソフトバンク>

正捕手の甲斐に続く2番手争いが激しい。現在A組(1軍)の捕手登録は甲斐以外では海野、谷川原、栗原の3人。ベテラン高谷はリハビリ中で、昨季日本シリーズMVPの栗原はほぼ内外野に専念している。強肩を生かした守備力が武器の2年目海野と、内外野をこなせるセンスがあり打力、走力も魅力の谷川原。同じ97年生まれの2人はこの日も並んで特守を受けるなど、切磋琢磨(せっさたくま)している。

<ロッテ>

田村の存在感が濃い。1月に益田、二木ら投手陣と自主トレ。徹底的に走り込んだ勢いで、充実のキャンプを過ごす。昨季は柿沼の成長と、死球による右手指骨折でスタメンから外れた時期が2度あった。「まだ納得する成績を残したことがないので、誰にも文句言われない成績を本当に残したい」と誓い、松中臨時コーチの打撃指導にも全力で取り組んだ。プロ9年目。チームリーダーの1人として、正捕手の座を固めたいシーズンになる。「打てる捕手」候補の2年目佐藤都も、打撃を着実に伸ばしている。

<西武>

森が歯を食いしばりながらキャンプを過ごしている。ほぼ毎日、早出居残りで捕手練習を敢行。初日から「きつかったです。個別メニューが予想を上回るきつさだった。びびりました」と面食らった。今季2軍から昇格してきた野田バッテリーコーチの下、大粒の汗を流して鍛錬を積んでいる。昨季1軍にいた岡田、柘植らは2軍キャンプとあって、若手との練習が続く。「若い選手がいるので、なんとか引っ張っていきたいんですけど、体がついてくるかどうか」。3年連続防御率ワーストの汚名返上に、必死に野球と向き合っている。

<日本ハム>

捕手陣はミス撲滅へ技術練習に励んでいる。昨季のチーム捕逸数(13個)と失策数(13個)はともにリーグワースト。全体練習後の特守などで技術アップを目指し、各自が汗を流している。9日に行われた阪神との練習試合では昨季捕手陣の2枚看板である清水と宇佐見がそれぞれ二盗を阻止。1軍スタートとなったドラフト3位古川裕大捕手(22=上武大)の加入で競争もあおられる中で切磋琢磨(せっさたくま)しながらレベルアップ中だ。

<オリックス>

大卒3年目の頓宮が正捕手奪取に挑んでいる。昨季は若月や伏見がマスクをかぶる試合が多かったが、持ち前の打撃力を生かし、猛アピールを続ける。強肩の若月と、打撃力やリーダーシップに定評がある伏見も、虎視眈々(たんたん)と扇の要を狙っている。ベテランでは経験値の高い松井が控えており、競争は激しい。