青春時代を過ごした友情はいつの時代も色あせない。20日、沖縄セルラー那覇で日本ハムとの練習試合前の練習中。原辰徳監督が打撃ケージ後方で日本ハム原田豊2軍監督と抱き合った。熱い抱擁だった。

原タワーに迎え入れ、2人並んで座った。片意地など張らず、互いに遠慮もない。自然すぎる光景が逆に違和感を醸し出した。

2人は東海大時代の同級生で、三遊間を組んだ間柄。胸と胸を突き合わせ、無我夢中で白球を追った。あれから40年の時が流れた。

表舞台でスターの王道を歩んできた原監督。原田2軍監督は社会人の協和発酵に進み、母校の柳井高(山口)の監督を経て、日本ハムスカウト、2軍総合コーチから2軍監督に就任した。プロ経験はない。大学卒業後に進んできた道も景色も180度異なる。だが「野球」「青春」という共通項は2人を強く結びつけ、決して引き離さなかった。

真剣勝負の敵は、野球仲間でもある。陽岱鋼、石川慎吾が三塁側ベンチに、矢野コーチ、宇佐見、村田透らは一塁側ベンチに吸い込まれ古巣の仲間と旧交を温めた。いがみ合いや足の引っ張りあいが勝負ではない。互いを認め合う、リスペクトの精神がファンを魅了する勝負へとつながる。

誰もが過ごす青春時代の延長がグラウンドには点在する。同窓会、OB会とは違う。原監督と原田2軍監督は、指揮官としてプロの舞台で再会し、抱き合った。時間が許せばいつまでも話は尽きなかっただろう。沖縄の空も快晴で照らし、心地よい風で野球人たちを包んだ。【為田聡史】