ヤクルトの主力投手だった安田猛氏(やすだ・たけし)が73歳で死去したことが20日、分かった。福岡県出身。

81年の引退後はコーチやスコアラーを歴任。16年12月、小倉(福岡)のコーチに就任し「最後に母校で指導したい」と翌年夏からの監督就任を目指していたが、胃がんが見つかった。コーチを辞任し治療。末期がんと闘い、母校の指導に復帰してみせ、19年7月のヤクルトOB戦ではマウンドにも上がった。

早大、大昭和製紙を経て71年ドラフト6位でヤクルトに入団。「ペンギン投法」と呼ばれたサイドスロー左腕で7勝5敗、防御率2・08の好成績で最優秀防御率に輝き、新人王に選ばれた。プロ入りから2年連続で最優秀防御率を獲得したのは稲尾和久氏と2人だけという快挙だった。

プロ通算93勝80敗17セーブ、防御率3・26で「王キラー」と呼ばれた。王氏が756号に王手をかけた場面でもメモリアル弾は許さなかった。制球力に優れ、73年には81イニング連続無四球のプロ野球記録も樹立。記録の区切りはともに田淵幸一氏への敬遠だった。

人気漫画「がんばれ!! タブチくん!!」では安田氏がモデルの「ヤスダ投手」が登場。多彩な変化球を操り、名投手としてファンの心に刻まれていた。

◆がんばれ!!タブチくん!! いしいひさいち作のギャグ漫画。主人公は阪神在籍時の田淵幸一がモデルで、掛布雅之や江本孟紀、ヤクルト安田猛らもモデルとなり登場した。79年にはアニメ映画化され、タブチ役の声優は俳優西田敏行