甲子園のリベンジ! DeNAドラフト5位の池谷蒼大投手(21=ヤマハ)が、初の対外試合で1回を無安打無失点に抑える上々のプロデビューを飾った。

静岡高3年春に出場したセンバツで対戦し、安打と盗塁を許した藤原恭大外野手(当時、大阪桐蔭2年)には四球を許したが、巧みな一塁けん制で誘い出し、盗塁死に仕留めた。

堂々の初実戦を終えた左腕は「自分の長所は投げっぷり。いい緊張の中で投げられました」と充実した表情をみせた。“因縁”の藤原との再戦については「その(センバツ時の)イメージはなかったけど、対戦できたらいいなと思っていたので良かった。素晴らしい選手で力んでしまったところもあり、2ストライクから欲が出てしまった」と振り返った。

記者は当時、静岡支局員で、17年春のセンバツを現地取材していた。県内で絶対的存在だった「静高の池谷」が全国屈指の強豪、大阪桐蔭と対戦した。

1回表に1番藤原に中安打と盗塁を許して勢いに乗せると、いきなり6失点を喫した。2回からは直球主体に切り替えて7回まで0を並べたが、2点をリードして迎えた8回に再びつかまり、惜しくも8-11で敗れた。8回1/3を投げ14安打11失点(自責点8)。それでも光るものを見せた。藤原以外にも、根尾昂(中日)柿木蓮(日本ハム)横川凱(巨人)ら後にプロ入りする好選手を擁し、この大会を制した大阪桐蔭に直球勝負で食い下がり7奪三振。当時の最速は140キロ台前半だったが、数字以上のキレがあり「レベルの高い相手にも直球は通用しました」と試合後に話していた。

あれから4年。たくましさを増した左腕は「真っすぐ自体が良かったので、変化球がその分生きたんじゃないかなと思います。シーズンに入ってきたら、打者も振れてくると思う。自分もしっかり状態を上げてやっていきたいなと思います」。高校時代から「球速より質」を常に求めてきた。プロの世界でも堂々と、直球主体で勝負していく。【鈴木正章】