日刊スポーツでは今月から毎月1回、DeNA三浦大輔監督(47)が、直筆での「今月の一文字」とともに、チームや球界について語る「月刊ハマの番長」をスタートします。第1回は、監督に就任して「初」のキャンプのここまでを、ざっくばらんに語りました。

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「初」の1軍監督としてのキャンプイン。現役の時とは、宿舎の部屋での過ごし方が変わりました。まずベッドで寝てます。現役時代は畳を持ち込んで、布団を敷いて寝てました。寝心地だけじゃなく、朝や寝る前にストレッチするのにも便利だったから。でも今年は持ち込んでません。代わりに、部屋にはホワイトボードがある。今はコンディションより、頭の方が大事。ボードに張ってあるスケジュール表とか選手のプレートを見ながら、いろいろイメージしてます。

現役時代と同じく、体は動かしてます。夕方に散歩やランニング。選手の時は10時ぐらいのアップ開始だったんで、早朝にやってたのですが、監督は朝からミーティングがあったり早出があったりでバタバタするので練習後に。回数は毎日から1クールで2回ぐらいに減りましたけど。リフレッシュの方法も変わってない。矢沢永吉さんですね。昔はDVDを持ち込んでましたが、今はiPadで。半身浴をしながらも聴けるし、便利な時代になりましたね。プロレス、ボクシングなんかの懐かしい映像をいろいろと見たりもしてます。最近の映画では「バッドボーイズ」を見たり。

でも、今年のキャンプで一番変わったのは、プロになって「初」めての無観客キャンプということ。スタンドには、報道陣しかいない。選手の時は、ファンに見られていることで、ノックを受けていても「もう1本」頑張れました。ランニングで自分に負けそうになっても「もう1本」できました。ブルペンでも、投げ終わった後の「お疲れさま」の一声で元気になってましたから。ファンとのコミュニケーションはサインを書く、写真を撮るだけじゃないんです。

そんな特殊な環境でも、選手1人1人がレベルアップしないといけないのがキャンプ。今年は「変わる」をテーマにしました。好きなように打つだけじゃなく、送りバント、右打ち、エンドランなど、細かい作戦を準備しておかないと公式戦では使えない。だから意識付けの意味もあって、たくさん練習しました。どのくらいシーズンでやるかは分からないですが、決めつけはよくない。「俺はスモールベースボールでいく」なんてひと言も言ってません。そういう戦略も時には必要というだけ。相手投手や展開によっては超攻撃型でいく可能性だってあります。去年はチーム打率、本塁打はリーグ1位ですから。いいものは残していく。でも優勝できなかったのだから、それにプラスアルファをしていかなければならない。

「変わる」は、全部をひっくり返すということじゃないんです。

投手を見ても、昔と今では練習は変わってます。例えばブルペンの球数。自分は1日で300球以上投げる日をつくったり、キャンプでは投げ込む方でしたが、今の選手に、それをいきなり求めても、ケガのリスクが高くなる。禁止しているわけではないけど。(インターバル投球で131球を投げた)浜口などは体力がついてきたんでしょう。先発は100球を超えることもあります。フルマラソンに出る人は練習で42・195キロ走っている。10キロ、20キロしか走ってない人はいません。完投を目指すなら、練習は必要になるでしょう。

対外試合は初戦から3連敗しましたが、今は準備のためにいろいろやっている段階。4戦目にサヨナラ勝ちしましたが、極端にいえば沖縄にいる間は、全部負けてもいいとさえ思っていました。しっかり内容があれば。キャンプはすべて公式戦の準備ですから。さすがに3月になったら「勝つ」という流れも必要になりますけどね。(DeNA監督)

◆三浦大輔(みうら・だいすけ)1973年(昭48)12月25日、奈良県生まれ。高田商から91年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入団。97年リーグ最高勝率、05年最優秀防御率、最多奪三振。15年にプロ野球記録に並ぶ23年連続勝利。16年引退。通算535試合、172勝184敗、防御率3・60。19年にDeNA1軍投手コーチ、20年に2軍監督を務め、今季から1軍監督。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。

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