阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が5日、プロ初のオープン戦となる敵地ソフトバンク戦に3番左翼で出場する。相手先発は昨季最多勝&最高勝率の2冠で、開幕投手内定の石川柊太投手(29)だ。アイドルグループ・ももいろクローバーZの大ファン(通称モノノフ)同士で、佐藤輝が近大時代にライブ会場で2ショット撮影してもらった縁もある。矢野監督は2番構想も披露。モノノフの先輩との夢対決で、豪打の恩返しを目指す。

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上限1万人のファンの前で初めて立つ初打席、相手は球界を代表するモノノフ石川だ。意気込みを聞かれた佐藤輝は「特にないですね」と笑った。素っ気ない答えだが、近大時代は「モノノフ対決ができれば。あのパワーカーブを」と夢見た初対決だ。石川は曲がりが大きいパワーカーブに加えフォークやカットボール、150キロを超える直球をテンポよく投げ込む。昨季の投手2冠VS規格外新人。佐藤輝にとって一流相手に絶好の腕試しになる。

19年12月、大阪のももクロのライブ会場で偶然会った。佐藤輝が石川の姿を見つけてあいさつ。大学生憧れのプロ野球選手として、2ショットに収まった。石川は「突然来てビックリしました」と話していたが、1年3カ月後、プロで対決が実現することになった。

佐藤輝は近大時代、石川に憧れていた。「登場曲もつくってもらって。育成からあそこまでになって、メンバーから認識されて、めちゃいいですね」。ライブに通うひとりのファンが、野球で成績を残し、メンバーに認知される。同じモノノフとして、これほどうらやましいことはない。

佐藤輝は石川のツイッターなどもチェック。昨年末のテレビ番組で、石川が推しの佐々木彩夏とユニホーム姿で楽しそうにダンスする姿が刺激になったという。佐藤輝も活躍すれば、推しの高城れにやメンバーと対面できるかもしれない。大きなモチベーションのひとつになっている。

この日は甲子園でのフリー打撃で、51スイングで12本の柵越えを披露。無風ながら、前日なかった左翼ポール際へも2球連続で放り込み、左打者泣かせの浜風にも対応する柔らかさを見せた。特打では右翼中段へたたき込むなど94振で17発。しっかり振り込んで博多へ移動した。ペイペイドームは小6のタイガースジュニア時代にトーナメントに出場して以来。当時は右肘を痛め、打席に立てなかった悔しい思い出もある。

現在は3番を任されるが、1番近本、2番糸原と左が3人並ぶこともあり、矢野監督は「3番は右の方がいいのかなと思うし。佐藤輝が2番に入ってくる可能性もある」と攻撃型2番プランを披露。佐藤輝は「まだまだ開幕までアピールしていって、それだけですね」ときりり。モノノフ対決でかっ飛ばし、オープン戦も勢いに乗る。【石橋隆雄】

◆ももいろクローバーZ 08年5月に「ももいろクローバー」として結成された女性アイドルグループ。グループ名には「ピュアな女の子が、幸せを運びたい」という意味が込められている。結成当時は高城れに、玉井詩織、百田夏菜子ら6人組グループ。メンバーの入れ替えで08年に佐々木と早見あかり、09年に有安杏果が加入した。10年に「行くぜっ! 怪盗少女」でメジャーデビュー。11年に早見が脱退し「ももいろクローバーZ」へ改名した。14年には国立競技場で女性グループ初のライブを開催。グループとして積極的なライブなど活動に加え、ソロ活動も活発に行い高い人気を誇る。181月に有安が卒業。4人体制として活動を続けている。