ユニホームから白衣へ-。東北大硬式野球部(仙台6大学)の医学部医学科コンビが昨季限りで引退し、今春からドクター研修を本格化させる。リーグ通算5本塁打の4番桜井優宏内野手(4年=豊中)は整形外科医、最速140キロ右腕の福岡涼投手(4年=淡路三原)は小児科医になることを夢に描く。昨秋のリーグ戦では99年以来21年ぶりの3位Aクラス入りに貢献。大学野球のラストイヤーに花を添えた。4月スタートの5年生からは本格的な実習がスタート。医師への道を進む。

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東北大史上で屈指のスラッガーは、タイトルを置き土産に野球から「卒業」する。桜井優は「スポーツ選手の助けになる仕事がしたい」とアスリートらしく、志望は整形外科医だ。昨秋リーグ戦は全10試合に4番指名打者(DH)で先発出場。10月14日の宮教大戦では左翼芝生席に本塁打を放つなど、21年ぶりの3位Aクラス入りに大貢献した。DHのベストナインに選出され「最後のリーグ戦。悔いなく終わることができた」。野球に一区切りをつけ、5年生からは本格的な実習に臨む。

幼少期から文武両道を貫いた。野球を始めたのは小学1年の頃。医師の父から「野球と勉強、どっちかだけではダメ。両方を本気でやらないといけない」と厳命され、平日は勉強、土日祝日は練習に励んだ。中学時代の成績はオール5。東淀川ボーイズ(大阪)ではロッテ福田光輝内野手(23)と同僚だった。高校は地元の名門・豊中に進み、2年夏には甲子園でも優勝した大阪桐蔭と初戦で激突。桜井優は6番左翼、福田光は9番遊撃で対戦し合った。3-7の降雨コールドで敗れたが、球友との再会を果たし「プロで活躍している姿を見ると、自分も頑張ろうと思う気持ちになる」と今でも刺激をもらう。

ブランクを乗り越えた。1年の浪人時代は野球を封印し、1日15時間の猛勉強で合格。入部当初は100キロの直球が全く見えなかった。「バットがとても重くて、目を慣らすことから始まった」。全体練習は水、金曜の朝6時45分からのみ。多忙な授業スケジュールの合間や夜間にバットを振り込んだ。3年春から昨秋まで、実質3季で5本塁打を量産した。「毎日が忙しかった。でも、野球は続けて良かった」。180センチ、100キロの巨漢4番は医学部内で「親方」と親しまれている。愛称通り、患者に優しく寄り添う医師を目指す。【佐藤究】