連勝、連敗と結果に濃淡が表れた開幕3連戦。まだ3試合、されど3試合-。開幕カードから見えたパ・リーグ各球団の収穫と課題をチェックしました。

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◆ソフトバンク(3勝0敗、打率2割7分3厘、防御率2・67)

【収穫】 野手は1番周東を中心とした固定オーダー、投手陣では先発に長いイニングを投げさせるという21年型の方針がはまり、開幕3連勝。経験豊富なベテラン陣がベンチを固めることで、代打出場など終盤での勝負強さにもつながっている。

【課題】 モイネロ不在の救援陣は、やや不安な面もあった。故障防止の観点から当面は3連投をさせない方針もあり、初のセーブシチュエーションだった28日の9回に登板した岩崎は逆転を許した。勝ちパターン候補の杉山ら若手も不安定な投球を見せていた。

◆西武(2勝1敗、打率2割1分7厘、防御率2・33)

【収穫】 不安要素だった先発投手陣が奮闘。開幕投手の高橋に続き、3戦目は中継ぎから転向した平井が、6回無失点で好投した。先発が安定し試合をつくったことで、先行逃げ切り型の「シン山賊打線」が、見えてきた。9回打ち切りの今季、逆転だけじゃない新たな勝ち方になる。

【課題】 打線を支えたのは、栗山、中村のベテランコンビに加え森、山川の主軸だった。一方でスタメンに抜てきされた西川、鈴木、ルーキーの若林、ブランドンらレギュラー候補らは振るわなかった。新戦力の台頭が、上位争いをするための絶対条件になる。

◆楽天(2勝1敗、打率2割8分4厘、防御率3・00)

【収穫】 涌井、早川と期待の先発陣が躍動。ともに試合をつくり、守備からリズムを作った。打線も4番浅村を軸に、辰己、小深田、島内、茂木、太田と主力が好調。3試合計29安打17得点と“ワシンガン打線”が機能している。

【課題】 救援陣の不安定さを露呈した。田中将が先発を回避した開幕2戦目の27日は計6投手で11四球。ボール先行の投球が続き、接戦時の戦いに不安を残した。また、右ヒラメ筋損傷で試合復帰まで3週間を要する田中将の状況も今後のチームを左右する。1軍に同行しながら、早期復帰に努める。

◆日本ハム(1勝2敗、打率2割4分、防御率5・04)

【収穫】 開幕2戦目で育成から支配下入りしたばかりの長谷川が、終盤に好救援。8回の宮西、9回の杉浦と盤石の継投を見せ、新しい勝ちパターンの形が見えたことは好材料だった。3連戦は負け越しスタートとなったが、心配だった先発陣についても、2戦目の加藤、3戦目の池田と計算できる投球を披露したのは大きい。

【課題】 センターラインのミスが、敗戦に直結した。昨季から課題に挙げられていた守備だが、ミスを犯したのがベテランだったのが残念だった。

◆オリックス(1勝2敗、打率2割3分3厘、防御率2・16)

【収穫】 山本、宮城、山岡の先発陣が試合を組み立てた。開幕カードは1勝2敗で10年連続負け越しながら、先発ローテーションの3投手がシーズンを見据えた投球を披露した。打撃陣では吉田正、頓宮、紅林に本塁打が飛び出し、長打力も見せた。

【課題】 攻撃陣がチャンスに弱かった。得点圏では27打数1安打1打点の打率0割3分7厘と苦戦。チャンスメークはできているだけに、あと1本がほしい。守りでは捕逸や二遊間の失策が目立った。

◆ロッテ(0勝3敗、打率1割6分3厘、防御率5・76)

【収穫】 開幕第3戦に先発したドラフト1位鈴木が、ソフトバンク打線を球威で押し、先発左腕としての高い素質を実証したのは大きい。打線では荻野、中村奨ら実績組が振れている。

【課題】 打線はようやくつながり始めたが、安田が1安打で、藤原は無安打。期待の山口も開幕戦で初安打は出たが、揺さぶりに対応しきれていない。昨季は盤石だった唐川-ハーマン-益田のリリーフ陣が、2試合続けて打ち込まれた。得点力がそう高くないだけに、巻き返すには救援陣の復調が必須だ。

※打率、防御率はチーム成績

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