ハマの番長がようやく勝った。

DeNA三浦大輔監督(47)が新人監督としては2リーグ制後、最も遅い開幕9戦目で就任初勝利を挙げた。「番長チルドレン」の阪口皓亮投手(21)が5回無失点と好投。6回から4投手をつないで逃げ切った。1番に抜てきした神里和毅外野手(27)が先制本塁打を放つなど「番長マジック」もさく裂した。今季と同じ開幕6連敗から優勝した1960年(昭35)の再現を狙う。

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横浜地方に遅かった春が来た。2点差の9回は1死二、三塁を切り抜けての初勝利。三浦監督は雨の中、勝利の球団歌を聞くと目を赤くした。涙のようにも見えたが「雨じゃないですか? ちょっと柄にもなくうれしかった。泣いてないでしょう。ファンの姿を見て、1つ勝っただけだけどうれしかった」。開幕9戦目の勝利。「長かったですし、1つ勝つのは大変だとあらためて感じた」と安堵(あんど)した。

「番長マジック」がはまった。初回、先頭打者が遊撃安打の判定。「初先発の立ち上がり。微妙なプレーなので迷わず行った」。リクエスト初成功でアウトに覆った。「登板前は心臓が飛び出るぐらい緊張した」という今季初登板の阪口を助けた。3回には打率1割6分7厘ながら、1番中堅で今季初スタメンに抜てきした神里が先制本塁打。4回には左中間の打球を好捕した。

逆境からスタートした。投打の主力である梶谷、井納がFAで巨人に移籍。昨季19ホールドのパットンは退団、ソト、オースティン、エスコバーら外国人が開幕に全員不在。手術明けの今永、東も開幕は間に合わなかった。開幕から接戦を続けながら、投手陣が不調で勝利が遠かった。日に日に増す重圧。胃薬は「まだ飲んでない」が「全く寝られないというより、寝たり起きたりだった」と安眠できなかったという。

くじけない。通算172勝している一方で184敗。「たくさん負けましたけど、ただの負けで終わらせたくない」。23年連続勝利というプロ野球タイ記録保持者は、前向きな姿勢を失わない。「諦めたら終わりだと思う。明日こそ何とかやり返してやろうとなる。明日もだめだとはならない」。車の中で大好きな矢沢永吉や織田哲郎の「ボンバーガール」を歌うことが気分転換になる。

開幕6連敗は「三原マジック」で初優勝した60年と同じだ。「全員で戦っていくしかない」。「横浜一心」を掲げる結束力で、得意の逆襲に転じる。【斎藤直樹】

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