DeNA三浦大輔監督(47)が4日の広島3回戦(横浜)で、開幕9戦目にして就任初勝利を挙げた。「ハマの番長」とはどんな人間なのか。人柄を紹介する。

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「ハマの番長」こと三浦監督は、リーゼントヘアのこわもてだが、見かけと違って穏やかな性格だ。監督就任から声を荒らげたり、ミスを叱責(しっせき)した場面はない。長年の付き合いがある競馬の矢作調教師は対談した際「優しい人なので大丈夫かな」と話し、アテネ五輪のチームメート上原浩治氏(日刊スポーツ評論家)もNHKの番組で同様の心配をしていた。

三浦監督は「ご心配いただきありがとうございます」と謙虚に言う。怒りをあらわにしない理由は「ミスしたら声を荒らげないといけないというのは固定観念じゃないか。怒鳴られないと動けないというのは違うと思う」という信念だ。当然、星野仙一氏のような激情型ではないが、野村克也氏のようなボヤキ型にもならない。「僕は星野さんでもないし、野村さんでもない。三浦大輔なので。人のマネをするつもりはない」と番長流を貫く。

1軍監督になる前、2軍監督でも投手コーチ時代から、穏やかな指導スタイルは変わらない。だが、指揮官としての厳しさは持ち合わせる。「やる気がなければ代える。怠慢プレーをすれば代える。やっても結果が出なければ代える」と心に決めている。勝つために最善の策をとる。在籍28年目となるプロ野球は「結局は勝負の世界。温情はチーム全体で勝ちにいくとなくなる」と言う。

だから就任以来繰り返す「状態がいい選手を起用する」という方針は、ぶれることはない。チームで最高の実績を持つ山崎をキャンプで2軍スタートとしたのも、その一環だ。「1軍で投げたい、1軍で打席に立ちたいと誰もが思っていると思う。プロ野球選手ですから。結果を残さないと給料も上がらない」。競争がチーム力を上げるという信念を持つ。山崎はツーシームを2種類に増やし、新たなスタイルを身に付けて開幕直前、1軍に復帰した。

三浦投手は高卒ドラフト6位からのたたき上げだった。本当は練習嫌いだが、誰よりも投げ込んで通算172勝をつかんだ。2軍からはい上がってきた選手の強さを知っている。この日、初勝利をもたらしたのは、昨季に2軍で一緒に汗を流した阪口皓亮だ。お互い初勝利だが、ウイニングボールは愛弟子に渡した。こういう優しさは、監督になっても変わらない。【斎藤直樹】